提携病院紹介「荻窪桃井どうぶつ病院」

取材・インタビュー 2023.07.03

「診察や治療のみではなく、”動物と一緒に暮らすこと”全体を診るクリニックでありたい」。そう語るのは、東京都杉並区に「荻窪桃井どうぶつ病院」を構える木﨑院長。

循環器認定医としてのキャリアを持つ木﨑院長を筆頭に、歯科や整形外科など一般内科から外科処置まで幅広く対応。

インタビューでは、幼少期をイギリスで過ごしていたという木﨑院長が日本の大学に進み獣医を目指すようになった経緯や、同クリニックが開催しているパピークラスやノーズワークを通じた飼育指導とそのポイント等について伺いました。(取材日2023年1月19日)

木﨑院長(中央)と、看板犬のこぶちゃ(写真左)、看板猫ほうじちゃ(写真右)

-イギリスの学校を卒業して、日本の獣医大学に入学されていますが、獣医を目指すきっかけは何でしたか?

獣医になろうと思ったのは、一番はやはり動物が好きだからという点でしょうね。小さなころから昆虫や魚やハムスターなど色々な動物を飼育してきました。幼稚園にも、鶉やミニブタなど色々な動物がいて、小さなころから動物と触れ合う機会が多かったんですね。

イギリスの学校は、学年が進むにつれてどんどん学ぶ教科が絞られていくのです。高校1年で4科目、2年で3科目などとだんだん絞られていくうちに、もっぱら理系科目で数学や物理、化学などの勉強ばかりしていました。そうした科目で目指せる職業、理系で就く職業、と考えた際にやはり好きな動物にかかわりたいという思いがあり、獣医になろうと考えるようになりました。

また、高校3年当時、幼いころから祖母が飼育していたネコが糖尿病を発症し、近所の動物病院に通院していたのです。それもあって職業を具体的にイメージすることができました。

実際に進学先の大学を選ぶ段階で、夏休みに一時帰国したのですが、その際に近所の動物病院に実習に行かせてもらいました。夏休みの一カ月程度でしたが、毎日通ってアルバイトをさせてもらう中で、非常に楽しさを感じましたし、苦も無く続けることができました。それもあって、やはり獣医を目指そうと気持ちが固まりました。

休診時間は院内パトロールに励むこぶちゃ

-ペットの飼育歴を教えてください。

幼いころから昆虫や熱帯魚、ハムスターなどを飼育していました。犬や猫を飼ったのは獣医になってからですね。それまでは人の飼っているワンちゃんの散歩に行ったりしていました(笑)。

高校時代は寮生活だったのですが、寮長がアイリッシュセッターを飼っていて、自ら志願して毎朝散歩に連れて行っていましたね。自宅の庭にはリスやハリネズミ、キツネがしょっちゅう来ていたりして、本当に身近に動物を感じられる環境で生活していたのです。

-貴クリニックには、様々な科目を得意とする獣医師の方々が勤務されていますね。患者様は二次診療やセカンドオピニオン希望でかかる方が多いのでしょうか。

予防目的や一般診療で来院される方が多いですが、他の病院で心臓の疾患をはじめとして、さまざまな病気のセカンドオピニオンでやってこられる方も多くいます。

私自身は循環器認定医ということで、心臓病をよく診てきていますし、その他分野を得意とする獣医も多く呼んでいますが、難しい症例の患者様がいらっしゃった際は、当院の勤務医と他の専門獣医師たちが症例について相談し合うチャットもありますので、それを使ってみんなで情報共有やディスカッションをして、検査や治療方針は決めていきます。

-外部からも獣医の方を呼ばれているのですね。

ええ、基本的には獣医は私とほか3~4名なのですが、曜日ごとに歯科や皮膚科を得意とする医師に来てもらっています。そのほか不定期ですが、必要に応じて腫瘍や難治性疾患専門獣医師、腹腔内の手術を得意とする軟部外科、腫瘍外科担当獣医師や、整形外科担当獣医師にも来てもらっていますね。

ひとりの獣医師が全ての分野を専門的に診療できれば理想的ではあるのですが、やはり基本的には一人の獣医がすべての専門分野に精通することは厳しいですし、飼い主さまのニーズを考えると十分なレベルまで満たないと思うのです。そのため色々な分野の獣医師と連携しています。

かかりつけ医はここ、整形外科はここ、心臓はここなどと通う病院を分けることは、飼い主さまにとってもペットにとってもやはり負担が大きいですよね。そのため、できるだけ当院で可能なことはやってあげたいという思いがあります。

そのうえで、どうしてもここで対応できないことは、決して院内で抱え込むことはせずに、信頼できる病院様に紹介する、というやり方をとっています。そして専門医での治療がひと段落したらまた通ってもらい、フォローアップを行っています。

もちろんペットに元気になってもらうことが何より大切ですから、何か症状があったり病気が見つかって当院にいらっしゃったら、それを治すために各獣医が連携して高い水準の医療を受けていただくことはできます。しかし、それがもしあまりに専門性が高く、当院で難しいならば他の病院を紹介してあげたほうが飼い主さまのためにもペットのためにもなります。

ただし、専門医以外の医師、以降はジェネラリストと呼ばせていただきますが、そうしたジェネラリストも専門医から知識を得て常に学んでいます。また、普段の検診など一般診療の中から病気を見つけていくというのは、実はジェネラリストのほうが得意だったりもするのです。

現時点での当院のジェネラリストは、獣医歴が最も短い人でも6年程度。その他のメンバーについても10年ほどでしょうか。一般診療の経験をしっかり積み重ねてきており、その中で皮膚が得意、歯が得意、などの得意分野があります。さらにそのうえに、ある分野に特化した獣医が複数おりますので、安心してお越しいただけたらと思います。

-ペットと暮らす飼い主さまにお伝えしたいことはありますか?

ペットを一番よく見ているのは、いうまでもなく飼い主さまです。動物は喋ることはできないため、飼い主さまからの情報が非常に大切なのです。 たとえば食事の内容一つについても、飼い主さまがきちんと申告してくれなければわかりません。きちんとお話を聞くことができないと、診断までにかかる時間がどうしても長くなります。

それが、飼い主さまがもともと知識として知ってくれていたり、もしかしたらこうなんじゃないか、と推測してくれると、診断を行うにも話が非常にスムーズになります。 お互いに時間の短縮になりますし、何より動物に掛ける負担が少なくて済みます。そのほうが良いに決まっていますし、飼い主さまにも常にそうした意識を持ってほしいですね。

飼い主さまがある程度の知識をもって、常にペットの様子を観察すること、そしてご自身がいち早くお家で異変に気付いて連れてきてくれることが重要です。

-日々の診察で大切にしていることを教えてください。

やはり問診とインフォーム(説明)でしょうか。
うちは他と比較しても問診に掛ける時間が長いと思うのですが、丁寧にお話しを聞いていれば、自然と時間はかかってしまうのです。 飼い主さまから話が聞き出せれば聞き出せるほど、無駄に検査しないで済みますし、不要なお薬を飲ませなくて済みます。

例えば「なぜかよく吐く」と通院しても、実は原因は病的なものではなく、ストレスの可能性もあって、その原因が改善されれば自然と収まることがあるのです。でもそうした原因、環境の変化などって飼い主さまにしかわからないですよね。

先日も、なぜか長期間黒い色の下痢が止まらない、検査してもわからないと色々な病院を回ってこられた方がいました。食事について聞くと「食欲もあり、普通に食べている」というのです。しかしよくよく話を聞くと、大好物のささみしか食べていないということが分かりまして。ささみをやめて通常のフードにしたら下痢はすぐに治りました。結局食事の内容が問題であって、病気で薬が必要なわけではなかったんですよね。

このように状況や内容について、具体的に挙げていただけるほうがいいですね。ひとつひとつの情報を吸い上げていくと、いらない検査などがわかります。病気の診断以外にも、ご飯を変える、環境を変えるなどのアドバイスもできるのです。

-オンライン診察もやっていらっしゃるということですが

はい。初診というよりも、どちらかというとセカンドオピニオンで受けることが多いでしょうか。

初診の患者様以外は、お薬も郵送でお送りすることができます。また、たとえば皮膚病の経過ならば映像でも見ることが可能な場合もありますし、その他急ぎはしないけれど聞きたいことがあればオンライン診察やチャット相談をご利用いただければと思います。

-クリニックには、パピークラス・しつけ・トレーニング担当認定看護師が勤務されているのですね。定期開催しているパピークラスについても、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

パピークラスには絶対に行ってほしいと考えています。特にワンちゃんを飼ったことがない方ならば、必ず行ってほしいくらいです。

当院のパピークラスでは、まず、「犬とはどういう生き物なのか」という点から入ります。そのうえでその犬種の特性やその子の性格などを見て、育て方やしつけの方法についてもアドバイスしています。ワンちゃんって、本当にトレーニング次第でいい子になりますよ。

たとえば吠え癖ひとつとっても、犬種の特性などの知識を踏まえたうえで、改善方法についても教えることができるのです。この犬種の場合はこういう特性があるから、とわかったうえでになると、ある部分許容範囲についての理解につながりますよね。なんでこんなことをするんだ、ではなくて、ここまではワンちゃんの生態として受け入れるべき、という指標になります。

また、飼い主さまに犬の気持ちになって考えてもらえるようになると思います。そうなれば、「無駄吠え」とは言わないようになりますよ。

ワンちゃんが吠えるという行為には必ず理由があります。だから無駄なことなんてないんですよ。なぜ吠えているんだろうか、と考えることが重要です。パピークラスできちんと学ぶことによって、そうした考えになってくれると思います。

-診察だけではなく、そうした面も一緒にアドバイスいただけるのは非常に安心感につながりますね。

そうですね。また、ワンちゃんのある気になる行動を治そうとすると、そのほかの問題も出てきて切り替わっていく傾向があるのです。

そうしてそれを乗り越えていくことで、どんどん飼い主さまの言うことをよく理解できる子になっていくのですが、そういう点を知らないと、「なんでこのしつけをしているのに治らないのか」「なんでこれは治ったのに、今度はこんなことをするんだ」などという理解になってしまうんですよね。

でもそういう部分って、ワンちゃんを飼ったことがない人にはわからないじゃないですか。

ペットを飼うということは、きちんと私たち人間も学んでいかなければなりません。なかなか敷居が高いと思われているかもしれませんが、嘘だと思って一回来てほしいです。当院では毎月パピークラスを開催していますので、ぜひお気軽にご参加いただければと思います。

こうしたパピークラスなども、実は診察の延長なんです。獣医師目線でいうと、病院でうまく治療を受けられる子になってほしい、という思いがあります。

理想としては、ハズバンダリートレーニングといって、コマンドで自ら横になってくれたり、採血をする際は手を出してくれたり、という状況が作れることなのですが、さすがにそこまでは難しいですよね。そこまでいかなくとも、耳は触らせてくれる、口を触らせてくれる、などまではご自宅でやって頂きたいです。

また、コロナ渦でペットを飼い始めたことで、最近は社会化ができていない子が多い気がします。「仕方ないわね」で済ませるのではなく、きちんとトレーニングすれば治る行動だということを、飼い主さまにも分かっていただきたいです。 実をいうとたいした問題だと思っていない飼い主さまも非常に多いです。このまま成犬になると問題行動が出てくるのではないか…と不安に思える子も少なくありません。

そのようなことを避けるためにも、ぜひ子犬をお迎えしたらパピークラスに参加していただけたらと思います。そのほうが、一緒に生活するうえで絶対に楽しくなりますよ。 そのほか、ノーズワークも実施しています。ノーズワークとは、自分でものを探すという作業になるのですが、これもワンちゃんが非常に達成感を得られるのです。また、自立した心を持ったり、自信が付いていくことにも繋がります。

病院内でこうしたトレーニングを行うメリットは、病院を楽しいところと思ってもらえるところでしょうか。先日も、椎間板ヘルニアで両後肢まひの子がこのトレーニングを実施していました。激しい運動ができない中でも、頭を使うことで好奇心が刺激されたりエネルギー発散、ストレス解消につながります。高齢の子でもできるトレーニングですから、病気の治療はもちろんのこと、そうしたトレーニングにもどんどん興味を持ってもらいたいですね。

こうしたクラスには看護師も参加しており、ワンちゃんの様子を見ながら飼い主さまとの会話を楽しんでいます。些細なことでもどんどん相談してもらえたらと思います。

-病院選びのポイントを教えてください。

やはり信頼できるかできないかではないでしょうか。医療レベルに関しては、飼い主さまが見て判断することは結構難しいと思います。ですから、まずは一回行ってみて、先生と合うかどうかという点が一番大切かと思います。

そのほか、もしその病院が特別に提供しているサービス、当院でいえばしつけ教室やノーズワークなどがあり、それにご自身の希望があえばそうした医院を選べばよいのではないかな。

また、特定の病気がある場合は、その点に力を入れている病院が良いでしょう。たとえば犬種猫種によってなりやすいとされている病気が心配ならば、その専門分野に強い病院に通うというのもよいでしょう。そのほかは、やはり清潔感やニオイのなさという点も重要ですね。

-これから荻窪桃井どうぶつ病院へ来る方へ、お伝えすることや気を付けること、守ってほしいことはありますか?

病気の診察は一般的な内容から専門的な内容まで対応しているので、安心して足を運んでいただけたらと思います。

一般診療に加えて、私自身の場合は心臓病の診察が一番力を発揮できるところです。例えば、チワワやキャバリア、トイプードル、マルチーズなどの小型犬は、加齢に伴い慢性弁膜症を発症する子が非常に多いです。専門的な検査と内科治療のお薬の選択と調整、外科治療(僧帽弁修復術)の紹介など幅広く対応します。

また、猫についても肥大型心筋症や拘束型心筋症などの心臓病は多いですね。例えばメインクーンやラグドール、スフィンクス、アメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘア、スコティッシュフォールドなどは心筋症の発症が多く、若い時期であっても発症する可能性があります。

犬・猫ともに、先天性心疾患の診察をできる病院も少ないと思いますが、当院では動脈管開存症、肺動脈弁狭窄症、心室中隔欠損症、その他複雑な複合心奇形まで診察可能です。もし診てもらえる病院がなくて困っている場合にはぜひ頼ってもらえたらと思います。

もちろん私が担当している循環器科のほか、皮膚や歯科、整形外科などの専科もしっかり診ることができますので、子犬子猫期の一般診療はもちろんのこと、何か不安がある場合も是非いらしていただければと思います。

今は健康状態に現在は何も問題がなくとも、今後加齢に伴い起こりうる可能性について、現在の状態からしっかり見て早期に発見、対応することが何より大切です。安心して長く通うことができる病院を目指しています。

そのほか、診察や治療のみではなく、「動物と一緒に暮らす」という全体を診る病院として、トレーニングやパピークラスなども院内にて実施しています。ペットをお迎えの方に、「動物の目線で考える」ということを一緒に学んでいける病院です。普段悩んでいることもどんどん質問してほしいですし、相談してほしいと思います。

病院名  荻窪桃井どうぶつ病院

責任者  木﨑 皓太 院長
電話番号 03-6454-7416
所在地 〒167-0034 東京都杉並区桃井2丁目2-3
最寄り駅 JR 中央線 / 総武線、東京メトロ 丸ノ内線 荻窪駅
休診日 水曜日
スタッフ数 獣医師4、看護師3、非常勤専門獣医師5~
備考 入院施設あり、土日祝対応、ペットホテルあり、英語対応可能
公式サイト https://omah.tokyo/
特典 ほっとサポート会員 全チケット対応可
WEB予約はこちらから https://pet.apokul.jp/web/33/reservations/add
特典 ほっとサポート会員 全チケット対応可
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