vol.59:大変なこともたくさんありましたが、それよりも与えてもらうものや学ぶことの方が多かったような気がします

飼い主さまプロフィール
頭数 | 2頭 |
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品種 | ヨークシャーテリア(享年17歳2か月、女の子、茶々(ちゃちゃ)ちゃん)、トイプードル(享年16歳10か月、男の子、アトムくん) |
多頭飼い歴 | 10年 |
目次
- 多頭飼いをしようとしたきっかけ
- 実際多頭飼いをしてみての感想
- 実際多頭飼いをしてよかった点
- 多頭飼いで苦労したこと
- 先住ペットとの相性は?
- 多頭飼いのシニア期について大変だったことや良かったことなど
- これから多頭飼いをするみなさんへ一言アドバイス
―まず、2頭目以降を迎えようと思ったきっかけを教えてください。
元は別々で生活していたのですが、祖父母が施設に入るにあたり、一緒に入れる施設が当時はなかったので、うちで生活することになりました。元々2・3か月に1回、数時間しか一緒にいたことがなかったので、わがままな性格の二人だし、どうなることか、とかなり心配しました。

―実際に2頭目以降を迎えてみて、いかがでしたか?
おそらく、それなりにいい距離感で生活していたのではないかと勝手に思っています。お世辞にも仲が良いとは言えない関係性でしたが笑、居なければ居ないでちょっとそわそわするような様子をみて、居てよかったのかな、と思いました。
あと、これは飼い主のエゴですが、二人が同じ洋服を着ている姿を見て可愛すぎる!という親バカを発動できたのは良い誤算でした笑

―多頭飼い、良かったことを教えてください
どちらもわがまま放題、かわいいかわいいと甘やかされて育ってしまったので、あまり「犬同士のお付き合い」というのをできない二人だったのですが(犬友もいないしドッグランに行っても無反応)、犬との距離感の良いい勉強になったのか、ほかのわんちゃんとも以前よりも仲良くできるようになった気がしました。手がかかるほどかわいいといいますか、かかる手間も金額も倍、なのですが楽しさやかわいさは何十倍にもなりました!

―多頭飼い、大変なことを教えてください
とにかく気の合わない二人だったので笑、散歩も別々、出かけるときのキャリーも別々。 どちらかが不意に近づこうものなら怒られ、怒られたことに怒り…という繰り返しでした笑おもちゃもそれぞれで遊んでいたのに相手のものが気になって奪いに行って怒られて…という感じで。他にもいっぱいおもちゃも毛布もあるのに… 喧嘩させないように同じものを2つ買って与えたこともありますが、それは違うようで笑、結局同じ1つを取り合っていたので飼い主としては納得ができなかったのですが、相手のものがよく見えるのは人のちっちゃい子と一緒だなぁ、と思いました。

―ずばり、一番皆さんが気になる点だと思うのですが、先住ペットとの相性はどうでしたか。
小さい頃から定期的に顔を合わせてはいたものの、それぞれ主張が強くマイペースな性格だったので、よくテレビで見かけるような<くっついて寝る>とか<一緒にキャリーに入ってお出かけ>とか<一緒にお散歩>、というのは夢のまた夢でした…あまりにもお互いが歩み寄らないので、一緒に生活させるのは間違いだったかな、と考えたこともありましたが、次第にお互いの距離感が分かって飼い主にはわからない彼らなりの一定の距離を保って譲り合いながら生活している様子をみるようになったので、それぞれの性格や相性もあると思いますが、彼らには時間が必要だったんだな、と改めて実感しました。

―多頭飼いのシニア期について大変だったことや良かったことなどがあれば教えてください
シニアになってから食の好みが変わり、それまではなんでもおいしく食べるタイプの子だったのがそれぞれに好き嫌いがはっきりしたので食事をそれぞれに用意して、それぞれに食べさせるのは時間がかかって大変でした。特に晩年は二人とも自立ができなかったので、体を支えながら一人ずつ、誤嚥しないようにゆっくり食べさせていたので時間は倍でした。
また、晩年になっても仲の悪さは健在だったので笑、出かけるときも一つのキャリーに入れることができず、スリングを右肩と左肩それぞれにかけたり犬用の抱っこ紐を前と後ろに背負ったり、双子のお母さんのような見た目だったと思います。
当時はとても大変で必死でしたが、今思うと彼らと向き合っている時間は最高に楽しかったです。

―多頭飼いを検討している方、悩んでいる方へ一言アドバイスをお願いします
みんな人間と同じようにそれぞれ性格があります。マイペースな子、フレンドリーな子、怖がりな子、アグレッシブな子。色々です。 一人の子といっぱい向き合うことも素敵なことです。ただ、多頭になると笑顔も楽しいこともぬくもりも倍になります。 もちろんかかる費用も倍になりますが、その分濃密な時間を過ごさせてもらったような感覚です。大変なこともたくさんありますが、それよりも与えてもらうものや学ぶことの方が多かったような気がします。
もし多頭をするのであれば、本人たち同士のいい距離感を見つけるには時間がかかるかもしれませんが、ゆっくり時間をかけて見守ってあげてください。 きっと今まで知らなかった先住の子の意外な一面が知れると思いますし、今までよりも、もっと賑やかで笑顔溢れる生活が待っていると思います!

編集後記
今回は、2頭のワンちゃんを見送った多頭飼い先輩にお話を伺いました。トイプーちゃんについてはリウマチをり患しており、10歳ころから徐々に介護が始まったとのことでした。ワンちゃんもネコちゃんもシニア期になると人間と同じように自分で立てなくなったり、言うことを聞かなくなったりと、可愛さと癒しに溢れていた子犬時代とは異なり、飼い主さまご家族にも明らかに負担が増えます。それが多頭飼いとなるとなおのこと大変でしょう。
しかし、今回の多頭飼い先輩さんのように、長年連れ添ってきた大切な家族を最期までお世話をし、きちんと看取るということは、すべての飼い主の責務ではないでしょうか。今回の多頭飼い先輩さんのエピソードが、まだ若いワンちゃんネコちゃんと暮らす飼い主さまが、シニア期の生活についてイメージしていただくきっかけになればと思います。