愛犬を飼うということ。覚悟と責任や知っておきたい費用も解説

ペットと暮らす 2025.7.1

愛犬を飼うということ。覚悟と責任や知っておきたい費用も解説

「ワンちゃんを飼うとどんな変化があるの?」
「ワンちゃんを飼うとできなくなることは?」
「ワンちゃんを飼うのに必要な費用は?」

愛犬を飼いたいと考えている方には、このような疑問があるのではないでしょうか。愛犬との生活は、日々の生活に彩りと癒しを与えてくれます。しかし、ときには時間や体力的な余裕が求められたり、突発的な出費が発生したりすることも事実です。

この記事では、愛犬をお迎えする前に知っておくべき覚悟と責任について解説します。また、生涯にわたって必要となる費用についても触れていきます。

この記事を読むことで、愛犬をお迎えした後の生活をイメージしやすくなるでしょう。ぜひ最後まで読み進めてください。

目次

  1. 愛犬を飼う覚悟と責任とは
  2. 愛犬をお迎えする前に把握しておきたいポイント
  3. ワンちゃんを飼うのに必要な費用
  4. 愛犬を飼うことに関するよくある質問
  5. 愛犬を飼うということは覚悟と責任が必要

愛犬を飼う覚悟と責任とは

 愛犬を飼う覚悟と責任とは

愛犬を家族として迎える場合、飼い主には覚悟と責任が求められます。
具体的には、以下の6つのような責任を果たす覚悟が必要です。

  1. 愛犬の命に最期まで責任を持つ
  2. 病気・感染症の知識を持ち予防する
  3. むやみに子どもが産まれないよう配慮する
  4. 盗難や迷子を防ぐためマイクロチップを登録する
  5. 愛犬が幸せで健康な生活を送れるように養う経済力を維持する
  6. 他人への迷惑を防ぐ

ここからは、それぞれの責任について解説します。

1. 愛犬の命に最期まで責任を持つ

愛犬を飼うということは、その命が尽きるまでの十数年間、生涯にわたって面倒を見ることです。飼い主には、愛犬が安心して過ごせる飼育環境を整え、散歩や食事のお世話をすることが求められます。病気やケガの際には適切な治療を受けさせなければなりません。

愛犬が年を重ねて介護が必要になったときにも、愛情を持って最期まで寄り添う覚悟が求められます。「可愛い」という気持ちだけでは乗り越えられない困難な時期も訪れます。それでも最期まで愛し続けられるか、自問自答することが大切です。

2. 病気・感染症の知識を持ち予防する

愛犬の健康を守るためには、ワンちゃんがかかりやすい病気や感染症について正しい知識を持ち、適切な予防措置が必要です。

ワンちゃんの場合、年に1回の狂犬病の予防接種が法律で義務付けられています。これは、万が一の際に人やほかの動物への感染を防ぐための社会的な義務でもあります。

複数の感染症を一度に予防できる混合ワクチンの接種も、愛犬の健康維持には欠かせません。どのワクチンを接種すべきかは、住んでいる地域や愛犬の生活スタイルによって異なります。ワクチン接種の際は、獣医師と相談して決めましょう。

蚊が媒介するフィラリア症は、命に関わることもある病気です。フィラリア症は月に一度の投薬で予防できます。

このような病気や感染症を理解し、予防することが愛犬の命を守ることにつながります。

3. むやみに子どもが産まれないよう配慮する

生まれた子犬たちを自分で育てられない、あるいは新しい飼い主を見つけられないのであれば、ブリーディングさせるべきではありません。このような望まない妊娠を防ぐ最も確実な方法が、避妊・去勢手術です。

避妊・去勢手術は望まないブリーディングを防ぐだけではありません。生殖器系の病気にかかるリスクを減らし、愛犬がより長生きする可能性を高めるメリットもあります。

愛犬の将来を考え、手術を前向きに検討することが責任ある飼い主の選択です。

4. 盗難や迷子を防ぐためマイクロチップを登録する

2022年6月1日から、ワンちゃんへのマイクロチップの装着と情報登録が義務化されました。これは愛犬が迷子になったり、災害や盗難ではぐれてしまったりした際に愛犬を守るための重要な制度です。マイクロチップを装着していれば、保護された場所で専用のリーダーを使えば飼い主の情報が分かります。

ブリーダーやペットショップからワンちゃんを迎えた場合、ほとんどのケースでマイクロチップはすでに装着されています。必ず登録されている情報を自分のものに変更する手続きをおこないましょう。

5. 愛犬が幸せで健康な生活を送れるように養う経済力を維持する

愛犬を家族として迎えるには、生涯にわたる経済的な責任を伴います。毎日の食事代やおやつ代はもちろん、おもちゃや日用品は飼い主が負担します。さらに定期的な健康チェックやワクチン接種、予期せぬ病気やケガの治療費など、突発的な費用も避けられません。

これらの費用を惜しまずにかけられる経済力は、愛犬が健やかに生きるために不可欠です。万が一の場合に愛犬が適切なケアを受けられるよう、経済的な準備と計画を立てることが、飼い主にとって重要な務めです。

6. 他人への迷惑を防ぐ

愛犬と社会で共存していくために、飼い主には周囲への配慮や迷惑をかけない責任が求められます。

最も身近な例は、散歩中の排泄物の処理です。フンを放置すると、街の景観を損なうだけでなく、衛生上の問題も引き起こします。必ず持ち帰り、適切に処理しましょう。

無駄吠えによる騒音や人への飛びつき、噛み癖といった問題行動は、近隣住民やほかの人々に恐怖感や不快感を与えてしまいかねません。これらの行動は、適切なしつけによって改善することが可能です。

愛犬が社会の一員として受け入れられるよう、根気強くしつけに向き合うことも飼い主の大切な務めです。

愛犬をお迎えする前に把握しておきたいポイント

 愛犬をお迎えする前に把握しておきたいポイント

愛犬をお迎えする前に、以下3つのポイントを把握しておきましょう。

  1. 自分に合った犬種を選ぶ
  2. ワンちゃんに必要なお世話を把握する
  3. しつけには時間・体力的な余裕が求められる

ここからは、それぞれのポイントについて解説します。

ポイント1. 自分に合った犬種を選ぶ

自分の住環境やライフスタイルに合った犬種を選ぶことで、ワンちゃんも飼い主も無理なく、共に幸せな毎日を送れます。犬種によって体の大きさや必要な運動量、性格、お手入れの手間は大きく異なるため、その違いを理解して選ぶことがポイントです。

たとえば、アパートやマンションなどの集合住宅で暮らしている場合は、比較的吠えにくく、体の小さい小型犬が適しています。一方で、毎日の散歩や運動に時間をかけられるのであれば、体力のある犬種も選択肢に入るでしょう。

飼育スペースや、散歩に割ける時間、お世話にかけられる労力などを考慮し、無理なく飼い続けられる犬種を選びましょう。

ポイント2. ワンちゃんに必要なお世話を把握する

頻度 必要なお世話
毎日
  • 食事
  • 散歩
  • トイレの掃除
  • ブラッシング
  • 歯磨き
  • スキンシップ、遊び
定期的
  • シャンプー
  • トリミング
  • 爪切り
  • 耳掃除

愛犬との生活は、日々のお世話の積み重ねです。その内容は多岐にわたり、毎日欠かせないものから定期的に必要なものまでさまざまです。

毎日必要なお世話として、食事の準備と片付け、朝晩の散歩やトイレの掃除が挙げられます。加えて、健康チェックを兼ねたブラッシングや、歯周病予防のための歯磨きも重要になります。そして何より、愛犬との絆を強めるためのスキンシップや遊びの時間も重要です。

さらに、定期的に必要なお世話もいくつかあります。たとえば、月に1〜2回のシャンプーや、犬種によってはトリミングが必要です。また、愛犬が快適に過ごすために、爪切りや耳掃除も忘れてはいけません。

これらのお世話を楽しい時間と捉えられるかどうかも、考慮すべきポイントです。

ポイント3. しつけには時間・体力的な余裕が求められる

ワンちゃんと人間が快適に共存するためには、しつけが不可欠です。トイレトレーニングや「おすわり」「待て」といった基本的なしつけは、衛生面や安全面を確保する上で欠かせません。

また、犬種や個々の性格によっては、噛み癖、無駄吠え、物を壊すなどの問題行動が見られることもあります。こうした問題に向き合って根気強く教えるには、時間と労力がかかります。ときには思うようにいかず、悩んでしまうこともあるでしょう。

しつけは一朝一夕に完了するものではなく、愛犬の生涯を通じて向き合っていくものであるという覚悟が必要です。

ワンちゃんを飼うのに必要な費用

 ワンちゃんを飼うのに必要な費用

愛犬との暮らしには、経済的負担も伴います。一時的な感情で飼い始め、経済的な問題で飼育が困難になる事態は避けなければなりません。そのためにも、具体的な費用を事前に把握しておくことが不可欠です。

ここでは、愛犬をお迎えした際の初期費用と1カ月にかかる費用、その他の費用について解説します。

初期費用

項目 費用目安
ペット価格 20万円~30万円程度
自治体登録料 3,000円程度
各種ワクチン接種費 3,000円~1万円程度/回
避妊・去勢手術費 2万円程度
各種飼育グッズ代 5万円程度

愛犬をお迎えする際に、まず必要となるのが初期費用です。合計すると、27万6,000円〜38万3,000円程度かかります。

大きな割合を占めるのがペット価格で、目安は20万円〜30万円程度です。ただし、実際の価格は犬種や血統によって異なります。

これに加えて、自治体登録料として3,000円前後、狂犬病や混合ワクチンの接種費用として約1万円が必要です。避妊や去勢をおこなう場合は、手術費として2万円以上がかかります。

ほかにもケージやサークル、食器、トイレ、リードといった飼育グッズを揃えるのにも5万円程度の費用がかかります。

愛犬をお迎えする際はある程度のまとまった出費があることをあらかじめ理解しておきましょう。

1カ月にかかる費用

項目 費用目安
フード代 4,000円~1万円程度
おやつ代 1,000円程度
おもちゃ 1,000円~2,000円程度
トリミング代金 5,000円~9,000円程度
ケガや病気などの治療費 4,000円程度
ペット保険 500円~4,000円程度

愛犬との生活が始まると、毎月継続的に費用が発生します。その合計額は、おおよそ1カ月あたり1万5,500円~3万円程度が目安です。

内訳として最も大きいのは主食となるフードやご褒美のおやつ代で、4,000円〜10,000円程度かかります。また、トイレシートなどの消耗品や、遊びに使うおもちゃ代も必要です。

犬種によっては、定期的なシャンプーやカットのトリミング代金が5,000円〜9,000円程かかります。

万が一のケガや病気に備えた治療費の積み立てや、ペット保険に加入する場合はその保険料も考慮に入れる必要があります。

家計と照らし合わせ、これらの費用を支払い続けられるか検討しましょう。

その他の費用

項目 費用目安
ホテル代金 5,000円~/1泊
ドッグランなど施設利用料 500円~1,500円/1回
光熱費 4,000円~5,000円(夏・冬)

毎月の固定費以外にも、状況に応じてさまざまな臨時費用が発生します。

たとえば飼い主が旅行や出張で家を空ける際には、ペットホテルに預けることが必要になる場合があります。ホテル代金は1泊あたり5,000円〜が相場です。

ほかのワンちゃんとの交流や運動のためにドッグランを利用する場合、1回あたり500円〜1,500円程度の利用料がかかります。

見落としがちなのが、夏場の冷房や冬場の暖房にかかる光熱費です。ワンちゃんは人間よりも暑さや寒さに弱いため、特に留守番中はエアコンをつけっぱなしにする必要があります。これにより、夏や冬の電気代が増加することも珍しくありません。

これらの臨時出費も念頭に置き、余裕を持った資金計画を立てましょう。

愛犬を飼うことに関するよくある質問

 愛犬を飼うことに関するよくある質問

愛犬のお迎えを検討している方の中には「今の生活がどう変わるんだろう?」といった疑問が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。これまでワンちゃんを飼った経験がない方にとっては、未知のことばかりで戸惑うこともあるかもしれません。

ここからは、特に多く寄せられる質問をピックアップし、分かりやすくお答えします。

愛犬を飼うとできなくなることは?

愛犬中心の生活になると、これまで当たり前にできていたことが難しくなることも珍しくありません。具体的には、以下のようなことが挙げられます。

  • 長期間の外出や旅行
  • エアコンの節約
  • 急な外泊
  • 自由時間の確保

たとえば、ペットホテルなどを利用しない限り、長期間の外出や泊まりがけの旅行は気軽にできなくなります。また、愛犬の健康管理のため、特に夏場や冬場はエアコンの節約も難しくなるでしょう。

仕事やプライベートで何かしらの理由があって終電を逃した場合でも、愛犬を家に残しているため急な外泊や長時間の留守番をさせるわけにはいきません。ワンちゃんの毎日の散歩やお世話は欠かせないものであるため、時間を確保するには工夫が必要です。

愛犬を飼うのに向いている人の特徴は?

愛犬を飼うことに向いている人には、以下のような特徴が見られます。

  • 生き物が心から好き
  • 責任感が強い
  • 変化に柔軟に対応できる
  • 生活に余裕がある

まず大前提として、生き物が心から好きで大変なときでも愛情を持ってお世話を続けられることが挙げられます。一つの命を預かるという自覚を持ち、最後まで面倒を見られる責任感の強さは不可欠です。

愛犬の体調不良や問題行動といった予期せぬ出来事にも、冷静かつ柔軟に対応できる心の余裕も求められます。

時間的、経済的、体力的な面で生活にゆとりがあることも、愛犬と穏やかに暮らしていくための重要なポイントです。

愛犬を飼うということは覚悟と責任が必要

 愛犬を飼うということは覚悟と責任が必要

愛犬との生活は、かけがえのない喜びや深い癒やしを与えてくれる素晴らしいパートナーです。とはいえ「可愛いから」という一時的な感情だけで、安易に飼い始めるものではありません。愛犬の命を生涯にわたって預かるという責任が求められ、日々の地道なお世話や経済的な負担が必ず伴います。

ご存じの方も多いかもしれませんが、飼い主に求められる責任を犬の立場から語っている「犬と私の10の約束」という物語があります。その内容は次のようなものです。

  1. 私と気長につきあってください。
  2. 私を信じてください。それだけで私は幸せです。
  3. 私にも心があることを忘れないでください。
  4. 言うことをきかないときは理由があります。
  5. 私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、わかっています。
  6. 私をたたかないで。本気になったら私のほうが強いことを忘れないで。
  7. 私が年を取っても、仲良くしてください。
  8. 私は十年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。
  9. あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。
  10. 私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。どうか覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。

出典:文藝春秋|「犬と私の10の約束」

この記事でご紹介したすべての事柄を受け入れる覚悟があるかを、ご自身の心に問いかけてみてください。その上で、愛犬を家族としてお迎えする決断をしたならば、きっとあなたにとって最高のパートナーとなってくれるはずです。十分な準備と覚悟を持ち、愛犬との素晴らしい毎日をスタートさせましょう。

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