子育てとペット
目次
はじめに
今回はお子様がいるご家庭でペットを飼うということについてお伝えしたいと思います。もともとペットを飼いたかったけれど機会がなかった、お子様が最近ペットを飼いたいと言い出して真剣に考えるようになった、というご家庭も多いのではないかと思います。
ペットを飼うということは本当に素晴らしいことです。無垢で愛情いっぱいで、私たち人間に全幅の信頼を置いてくれるペットとともに過ごすことは、日々の生活に癒しを与え、また明日への活力を与えてくれることであろうと思います。そうはいってももちろん生きているペットを家族に迎え入れるということですから、良いことばかりではありません。大変なことが多いのが現実ですし、様々な制約やリスクがつきまといます。
今回は特にお子様がいるご家庭でペットを飼う、ということについてお伝えしたいと思います。
小さな子供がいる家庭でペットは飼えるのか
結論から言うと問題なく暮らしていくことが可能です。もちろん、生後1歳に満たないお子様がいるご家庭であらたに生後間もないペットを迎え入れることは、お世話の面でも非常に大変かと思います。初めての子育てで、初めてペットを飼うならば、ある程度お子様が言葉を理解し始めて、ご自身にも少し余裕が出てくる3歳以降が一つの目安になるでしょう。 このように、現在の生活のなかでペットのお世話ができるかということは考える必要がありますが、小さなお子様がいるご家庭でペットを飼うこと自体は全く問題なく、お子様とペットがともに暮らすということは非常に良い効果があるといわれています。
子育て世帯にペットがもたらす良い影響
思いやりや優しい心を持つ
お子様にとっては、ペットは兄弟であったり、友達であったり、かけがえのない存在になります。言葉でコミュニケーションをとる対人間の関係性に加えて、言葉をしゃべることができないペットとの関係では、こちらが相手の気持ちを理解しようとしたり、相手の気持ちを察する必要があります。お腹が空いているみたい、具合が悪いみたい、お散歩に行きたそうだ、などと、ペットの様子やしぐさ、一挙一動から、相手が何を思っているのかを考える、という習慣が身につきます。
このように、ペットが何をしたいのか、何を言おうとしているのかを表情、鳴き声や行動から想像する経験は、子どもが相手を思いやる気持ちを身につける良い機会でもあります
また、自分が成長するにつれて、ペットは自分よりも弱く、守ってあげなければならない存在として自覚するでしょう。家族の中で一番小さく大人に守られている存在であったお子様が、自分よりもか弱い存在を守ろうと考え、行動するという経験は非常に貴重なものです。優しい心や思いやりを育むには最適であるといえます。
命の大切さを学ぶ
ワンちゃんにしてもネコちゃんにしても、品種にもよりますが、平均寿命は10歳-15歳ほどです。まだ飼ってもいないのにこんな話は酷かもしれませんが、当然ペットを飼うということは、先立つ死を受け入れるということです。愛するペットとの別れは誰しもつらいものですが、私たち大人と異なり子供にとってはそれが初めての身近な「死」であることが多いでしょう。 愛情を持って最期までペットのお世話をして、家族全員で悲しみを乗り越えることで「命とは何か?」を実体験で学ぶことになります。
老いるということや死ということについてしっかり考え、向き合わせることは私たち大人の責任です。
実際に別れを経験したときも、子供が悲しむから、という理由でごまかすケースも多いのですが、ペットを飼うことを決めた以上はきちんと「死」について説明することも大人の務めです。この「死」が必ずあるからこそ、「生」や「命」を大切にしなければならないことをしっかりと学ぶ機会になります。
子育て世帯がペットを飼う際に考えなければならない危険・可能性
アレルギー
アレルギーを発症する可能性もありますので、子どもや家族に犬アレルギー、ネコアレルギーがないかも確認しましょう。飼ってから気が付いたら大変です。また、最初は平気だったのに生活を始めて数週間経ってから発症する、ということもあります。これについては事前にアレルギーの有無について、血液検査を実施することである程度避けることができます。
また、最近では犬と触れあえる施設や猫カフェなどもありますので、そういった施設でワンちゃんやネコちゃんを直接触ってみて、アレルギー反応が出るかどうか、あらかじめ確認しておくのもいいでしょう。
感染症
ペットと生活することで動物から人に感染する人獣共通感染症の危険も伴います。犬猫どちらにも、咬まれたり、舐められたり、糞尿に触れたりすることで発症することがあります。これについては、きちんとワクチン接種を行うことや、ペットの身体を清潔に保つこと、過度なスキンシップを控えることで予防できます。そのほか、妊娠初期に感染すると、流産のおそれがある、猫から感染する「トキソプラズマ症」という病気などあります。ネコちゃんのトイレ掃除は妊婦さんはNGです。
仲良くならない
単純に、お子様とペットが仲良くならない、というケースも存在することも考えておきましょう。最初は可愛がっていたのに何かのきっかけで急に怖がってしまう、近寄らない、結局大人が面倒を見ている、なんていうご家庭も多いものです。これについては多くのケースが、触り方を分かっていないお子様が急に抱っこをしようとしたり、撫でようとして、それを怖がったペットに吠えられたり咬まれたり、ということがほとんどです。
このようなケースを避けるためには、最初は絶対に子供とペットを二人きりにしないこと、大人の監督下で、お子様がペットの接し方をきちんと学び、良い関係性を築けるように配慮してください。
子供が「ペットを飼いたい」といったら…
お子様がペットを飼いたいと言い出したら、まずはペットを飼うということは非常に大変なことが多い、ということをお子様に伝えて、それでもペットをお迎えしたいのかお子様自身にしっかり考えさせることをおすすめします。まずは、ペットのお世話ができるのか、という点を伝えましょう。 もちろん生きていますから、毎日のご飯、うんちやおしっこの掃除、ワンちゃんならばお散歩、ブラッシングや爪切りなどのお手入れなど、ペットのお世話は非常に多くの時間を割かれます。今までゲームをしていたりテレビを見ていたりと自由に過ごしていた時間を、ペットのお世話に割かなければならないということです。そのようなことをきちんとお子様に伝えて考えさせましょう。
そのほか、ペットを飼うことによる制約も当然発生します。泊りがけの旅行やお出かけもしづらくなるでしょうし、今までより出費が増えるということも、お子様に対して説明しておいた方が良いでしょう。自分のお菓子やオモチャを我慢しなければならなくなる可能性もあるよ、それでもいいのね、と、欲しいものを手に入れることと引き換えに、自身の欲求やわがままを我慢しなければならない、という点はきちんと理解してもらいましょう。
それと同時に、実際多くのご家庭では、親御さんがペットの世話をしているケースが大半ですので、それも覚悟しておいてください。
お子様がペットを欲しがり、「毎日お世話をする」という約束をしてペットのお迎えを決めた、という場合も、きちんとお世話をしていたのは最初の数か月で、次第にやらなくなり、結局親御さんがお世話をしているというご家庭がほとんどです。
最初からこの約束が生涯守られる、ということはなく、ご自身の負担が増えるということについても想定して、それでもまあ大丈夫だろう、という思える場合にお迎えすることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか。子育てとペットについては良い面も大変な面も沢山あるでしょうが、そうはいっても子どもはペットとともに過ごす時間を通じて、優しい心を育み、命の大切さを学ぶことができると思います。加えて、ペットの存在が家族に与える影響も大きいといえそうです