暑さに強い犬種9選!暑さが苦手な理由や今日からできる暑さ対策も紹介

「暑さに強い犬種はいるの?」
「うちの子は暑さに弱いタイプ?」
「愛犬の暑さ対策は何をすればよい?」
これからワンちゃんをお迎えしようと考えている方や、すでに一緒に暮らしている方には、このような疑問があるのではないでしょうか。
前提としてワンちゃんは人間に比べて暑さに弱いものの、中には比較的暑さに強い犬種も存在します。暑い地域で生まれたチワワや、被毛がシングルコートのバセンジーなどがその一例です。
この記事では、暑さに強いとされる犬種を小型犬・中型犬・大型犬に分けて紹介します。さらに、今日からすぐに実践できる具体的な暑さ対策や、飼い主様からよくいただく質問にもお答えします。
大切な愛犬が安全で快適に夏を乗り切れるよう、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 【大前提】どんなワンちゃんでも暑さは苦手
- 比較的暑さに強い犬種の特徴
- 【小型犬】暑さに強い犬種
- 【中型犬】暑さに強い犬種
- 【大型犬】暑さに強い犬種
- 今日からできる愛犬の暑さ対策
- ワンちゃんの暑さに関するよくある質問
- 愛犬をお迎えする際は必ず暑さ対策もしておこう!
【大前提】どんなワンちゃんでも暑さは苦手

まず最も大切なこととして、基本的にどんなワンちゃんでも暑さは苦手であることを理解しておきましょう。これから紹介する犬種は、あくまで比較的暑さに強いだけであり、決して日本の猛暑に強いわけではありません。
ワンちゃんが人間よりも暑さに弱い主な理由として、以下の4点が挙げられます。
- 全身で汗をかけない
- 気化熱でしか体温を下げられない
- 地面からの距離が近い
- 全身が被毛で覆われているため熱を逃がせない
これらの理由を知ることで、なぜワンちゃんにとって暑さ対策が不可欠なのか、より深く理解できるはずです。ここからは、それぞれの理由について詳しく解説します。
理由1. 全身で汗をかけない
ワンちゃんは人間とは違い、全身で汗をかけません。人間は、暑いときに全身の汗腺から汗をかき、その汗が蒸発する際の気化熱を利用して効率的に体温を下げられます。
一方、ワンちゃんの体温調節に関わる汗腺は、足の裏の肉球や鼻の頭といったごく一部にしか存在しません。こうした体の構造が、人間のように汗をかいて体温調節することがほとんどできない理由です。
理由2. 気化熱でしか体温を下げられない
汗をかけないワンちゃんは、口を開けて舌を出し「ハッハッハッ」と浅く速い呼吸をする「パンティング」で体温を下げます。これは唾液を蒸発させ、その気化熱を利用して体を冷やすための行動です。
しかし、パンティングは一度に放出できる熱量に限界があり、人間が汗をかくことに比べると体温を下げる効率はよくありません。
特に、日本の夏のように湿度が高い環境では、唾液が蒸発しにくくなります。その結果、パンティングの効果が著しく低下して熱中症のリスクが高まります。
理由3. 地面からの距離が近い
ワンちゃんは人間よりも地面に近い位置で生活しているため、暑さを感じやすくなります。特に夏場は、日差しで熱くなったアスファルトやコンクリートからの照り返しの影響を、全身で強く受けます。
体が小さい小型犬は地面との距離がさらに近くなるため、その影響はより深刻です。気温が30℃の日でも、小型犬が歩く高さの温度は40℃以上に達していることもあるため、散歩の時間帯には注意が必要です。
理由4. 全身が被毛で覆われているため熱を逃がせない
全身が被毛で覆われていることも、ワンちゃんが暑さに弱い理由の1つです。冬は寒さから身を守る断熱材となりますが、夏には逆に体内に熱がこもる原因となります。
特に、保温性の高い下毛が密集しているダブルコートの犬種は、熱を逃がしにくく、体温が上がりやすい傾向があります。
比較的暑さに強い犬種の特徴

基本的にすべてのワンちゃんは暑さが苦手ですが、その中でも比較的耐性がある犬種には、いくつかの特徴があります。
- 暑い地域で生まれた犬種
- 鼻(マズル)が長い犬種
- シングルコートの犬種
ここからは、これらの特徴がなぜ暑さへの強さにつながるのか解説します。
特徴1. 暑い地域で生まれた犬種
もともと暑い国で生まれた犬種は、その土地の気候に体が適応しているため、遺伝的に暑さへの耐性を持っている傾向があります。例えば、メキシコが原産国とされるチワワや、中央アフリカに位置するコンゴが原産国とされるバセンジーなどがこれに当たります。
特徴2. 鼻(マズル)が長い犬種
鼻先から目元までの「マズル」が長い犬種は、比較的暑さに強い傾向があります。
ワンちゃんは主にパンティングという呼吸で体温を下げます。マズルが長いと、パンティングの際に熱を逃がすための気道の面積が広くなり、効率よく体温調節できます。
特徴3. シングルコートの犬種
シングルコートの犬種や毛が短い犬種は、被毛の通気性がよく体に熱がこもりにくいため、暑さに比較的強い傾向があります。
ワンちゃんの被毛には、皮膚を保護する上毛(オーバーコート)と、体温調節の役割を担う下毛(アンダーコート)があります。この両方を持つ犬種は「ダブルコート」、下毛がない犬種は「シングルコート」です。
シングルコートはダブルコートに比べて被毛が少ないため、夏でも効率的に体温調節ができます。
【小型犬】暑さに強い犬種

ここでは、比較的暑さに強いとされる小型犬を3種ご紹介します。
- チワワ
- ジャックラッセルテリア
- 柴犬
それぞれの犬種の特徴や暑さへの強さについて解説します。
チワワ
原産国 | メキシコ |
---|---|
マズル | 短い |
被毛 | ダブルコート |
メキシコが原産国のチワワは、そのルーツから暑い気候に適応している犬種です。特に、毛の短いスムースコートのチワワは、体温を効率的に放散しやすいとされています。
しかし、日本の高温多湿な夏はチワワにとっても過酷です。また、マズルが短い子も多いため、ほかの短頭種と同様に、呼吸による体温調節が苦手な場合もあります。地面からの距離も近いため、照り返しにも十分な注意が必要です。
ジャックラッセルテリア
原産国 | イギリス |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | ダブルコート |
イギリスが原産国のジャックラッセルテリアは、キツネ狩りの猟犬として活躍してきた歴史を持ちます。マズルが長く、エネルギッシュで筋肉質な体つきをしており、代謝の高さから熱がこもりにくいのが特徴です。
ダブルコートではありますが、短毛であることと、猟犬として炎天下で活動していたことから、比較的暑さには強いとされています。ただし、非常に活発で運動量が豊富なため、暑い日中の過度な運動は熱中症のリスクを高めるので避けましょう。
柴犬
原産国 | 日本 |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | ダブルコート |
柴犬は、日本の気候風土に適応してきた日本犬の一種です。被毛はダブルコートですが、マズルが長い点や日本が原産国である点から、高温多湿な日本の夏にも比較的高い耐性を持っていると言われています。
ただし、それはあくまでほかの犬種と比較した場合の話です。昔の日本の夏は今ほど過酷ではなかったため、外で飼われることもありました。しかし、近年の猛暑では熱中症のリスクが非常に高いため、涼しい室内での飼育が必須です。
【中型犬】暑さに強い犬種

続いて、比較的暑さに強いとされる中型犬を3種ご紹介します。
- バセンジー
- ビーグル
- オーストラリアンキャトルドッグ
それぞれの犬種の特徴や暑さへの強さについて解説します。
バセンジー
原産国 | コンゴ |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | シングルコート |
中央アフリカのコンゴが原産のバセンジーは、暑い地域で狩猟犬として暮らしてきた歴史を持つため、比較的暑さに強くマズルも長い犬種です。被毛はシングルコートで非常に短く、通気性がよいため体に熱がこもりにくい構造をしています。
ただし、湿度が高い日本の夏は苦手な場合もあるため、適切な温度・湿度管理は欠かせません。
ビーグル
原産国 | イギリス |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | ダブルコート |
イギリスが原産国のビーグルはもともと、ウサギ狩りの猟犬として活躍していました。マズルが長くしっかりとした体型をしています。被毛はダブルコートですが短毛のため暑さには比較的強いとされています。
活発で好奇心旺盛な性格なので運動が好きですが、興奮しやすく遊びに夢中になると体温が上がりやすい一面もあります。夏の暑い時期は、涼しい時間帯に運動させるなど、熱中症には十分注意が必要です。
オーストラリアンキャトルドッグ
原産国 | オーストラリア |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | ダブルコート |
オーストラリアが原産国のオーストラリアンキャトルドッグは、広大な土地で牛を追いかける牧牛犬として活躍してきた犬種です。高温の環境下で長時間働いてきた歴史があり、暑さへの耐性が比較的高い犬種です。
マズルの長い犬種ですが、被毛はダブルコートです。ただし、通気性や耐候性を備えているため、暑い気候にも適応しやすいとされています。
【大型犬】暑さに強い犬種

最後に、比較的暑さに強いとされる大型犬を3種ご紹介します。
- ダルメシアン
- サルーキ
- ワイマラナー
それぞれの犬種の特徴や暑さへの強さについて解説します。
ダルメシアン
原産国 | クロアチア |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | シングルコート |
ダルメシアンは、クロアチアが原産国の犬種です。短く滑らかなシングルコートの被毛も持ち合わせています。マズルの長さや通気性のよい被毛のおかげで、体温を効率的に放散でき、比較的暑さに強い犬種とされています。
馬車の伴走犬として長距離を走っていたほどのスタミナがありますが、短毛なので強い日差しから皮膚を守る能力は高くありません。そのため、紫外線による皮膚へのダメージには注意が必要です。
サルーキ
原産国 | 中東 |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | シングルコート |
サルーキは、暑さが厳しい砂漠地帯が多い中東で生まれた犬種です。そのルーツから、厳しい暑さに適応する能力があります。
またマズルが長く、通気性のよい短い被毛も持ち合わせており、効率よく体から熱を逃がせます。暑さには強いものの、強い日差しに長時間さらされると熱中症のリスクが高まるため、涼しい時間帯の散歩や日陰での休息が大切です。
ワイマラナー
原産国 | ドイツ |
---|---|
マズル | 長い |
被毛 | シングルコート |
ワイマラナーはドイツが原産国の犬種で、大型動物を狩る猟犬として活躍してきました。短毛のシングルコートは通気性がよく体に熱がこもりにくいため、比較的暑さに強いとされています。
マズルが長く、引き締まった筋肉質の体型も、体温調節のしやすさにつながっています。ただし、運動量が非常に多い犬種なので、夏の運動は時間帯や内容に配慮が必要です。
今日からできる愛犬の暑さ対策

比較的暑さに強いとされる犬種でも、日本の猛暑を安全に乗り切るためには飼い主による適切な対策が不可欠です。愛犬を夏の危険から守るために、今日からすぐに実践できる対策には、主に以下の3つが挙げられます。
- エアコンは24時間つけっぱなしにする
- 愛犬にとって快適な環境を用意する
- 夏の散歩は時間帯とルートを選ぶ
これらの対策を徹底することが、愛犬の健康を守るためのポイントです。ここからは、具体的な方法を解説します。
対策1. エアコンは24時間つけっぱなしにする
飼い主が留守番をさせている間も含め、エアコンは24時間稼働させることが基本です。室温を25℃前後に保ち、湿度は50〜60%程度になるように設定するのが理想的です。
「少しの時間だから大丈夫」と思ってエアコンを消すと、室温が急激に上昇し、愛犬が熱中症に陥る危険があります。電気代が気になるかもしれませんが、愛犬の命を守るためには、エアコンをつけっぱなしにすることが最も安全な選択です。
対策2. 愛犬にとって快適な環境を用意する
室内では、エアコンの冷風が愛犬の体に直接当たらないように注意しましょう。体が冷えすぎてしまい、かえって体調を崩す原因になることがあります。
クールマットやひんやりとした素材のベッドを用意し、愛犬が自分で涼しい場所を選べるようにしてあげることが大切です。また、いつでも新鮮な水が飲めるように、水飲み場を複数の場所に設置しておくと脱水症予防につながります。
対策3. 夏の散歩は時間帯とルートを選ぶ
夏の散歩は、時間帯とルート選びが重要です。日中のアスファルトは高温で、愛犬が肉球をやけどする危険があるため、日中の散歩は絶対に避けましょう。
散歩に最適な時間帯は、日が昇る前の早朝、または日が完全に沈んで地面の熱が冷めた夜間です。散歩に出かける前には、自分の手で地面を触り、熱くないかを確認する必要があります。
ワンちゃんの暑さに関するよくある質問

ここまで愛犬の暑さ対策について解説してきました。しかし中には、「エアコンの設定温度はこれでいいの?」といった具体的な疑問がある方もいるかもしれません。
ここでは、ワンちゃんの暑さに関するよくある質問に回答します。ワンちゃんが暑いと感じる温度の目安から、エアコンに関する疑問まで解説するので、日頃の不安を解消していきましょう。
ワンちゃんが暑いと感じる温度は?
一般的に、ワンちゃんが暑いと感じ始めるのは、室温が25〜28℃を超える辺りからです。湿度が高い場合は、それ以下の温度でも暑さを感じやすくなります。
ただし、個体差や犬種、被毛のタイプによっても感じ方は異なります。日頃から、愛犬の様子をよく観察することが大切です。
電気代がもったいないとき、エアコンなしでもワンちゃんは大丈夫?
室温が26℃を超えるような環境では、エアコンなしで過ごさせるのは非常に危険です。特に、留守番中など飼い主が様子を見られない状況では、命に関わる事態になりかねません。
電気代が気になるかもしれませんが、愛犬の健康と安全には代えられません。タイマー機能を活用したり、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させたりする工夫も取り入れつつ、エアコンを使用しましょう。
ワンちゃんにとって快適な室温・設定温度は?
エアコンの設定温度は、部屋の広さや日当たり、エアコンの性能などによって、実際の室温とは異なる場合があります。大切なのは設定温度そのものではなく、ワンちゃんが過ごす空間の実際の温度と湿度を快適な範囲に保つことです。
温度・湿度計を設置し、室温が23〜26℃、湿度が50〜60%程度になるようにエアコンの温度を調節しましょう。
愛犬をお迎えする際は必ず暑さ対策もしておこう!

原産地や体の特徴から暑さに比較的強いとされる犬種も存在します。しかし、それはあくまで比較的強いだけであり、日本の高温多湿な夏の環境下では、どんなワンちゃんでも熱中症のリスクと隣り合わせです。
愛犬のためにも、快適に過ごせる室内環境を整える必要があります。エアコンでの室温調節やクールグッズの活用で、暑さ対策をしましょう。また、散歩の時間帯の配慮も欠かせません。
正しい知識を身につけ、愛犬と一緒に快適な夏を過ごしましょう。