予防医療の必要性

飼い方・しつけ 2023.06.15

目次

  1. 予防医療とは
  2. 病気を引き起こす3つの要因
  3. 7つの予防医療

1. 予防医療とは

皆さんは、予防医療について考えたことがありますか?

予防医療とは、その文字通り病気にかからないように予防する医療のことです。 病気になってから何か治療を始めるのではなく、普段からケアを行い、そもそも病気にならないように対策を行います。 つまり、病気にかかってから治すのではなく、病気になりにくい体作りを推進して健康を維持しようとすることです。

この考え方は人間にもペットにも同じことが言えます。 人間にとっても動物にとっても、多くの病気は「予防がすべて」であることには変わりありません。 普段から感染防止対策などを心掛けることにより、健康を維持し、万が一ウイルスにり患しても発症せずに命を救うことにつながるのです。

2. 病気を引き起こす3つの要因

病気は、「遺伝要因」、病原体、有害物質などの「外部環境要因」、食事、運動、休養、喫煙、飲酒などの「生活習慣要因」の3つの要因から発症するといわれています。ひとつめの「遺伝要因」については、いわゆる「先天性疾患」と呼ばれるものにあたるため、残念ながら予防や対策の使用がありません。

しかしそれ以外の外部環境要因、生活習慣要因については、飼い主さまが普段からペットの健康に気を付けてあげることで多くの疾病を防ぐことに繋がります。 疾病を防ぎ、健康を保つためには、これらの要因について適切な対応策をとることが大切です。

動物病院は、一般的には「犬や猫が病気になったら治療をして治すところ」というイメージがあります。

しかし、動物が元気に行動しているからといって、体が健康であるとは限りません。また、飼い主は健康だと思っていても、健康診断を受けたら病気の一歩手前だったということもあります。 予防医療は幅が広く、病気の予防だけにとどまりません。感染予防の混合ワクチン接種やフィラリア、ノミ・ダニ駆除による病気の予防のほか、検診などによる病気の早期発見、すでに病気を抱えている動物の悪化防止や、病気の再発防止も含んでいます。

まずは健康的な生活や予防接種などをして、病気のリスクを低減しながら、定期的に健康診断を受けることで早期発見・早期治療を行いやすくすることが重要といえるでしょう。

3. 7つの予防医療

フィラリア予防

フィラリア症とは蚊を介して犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫が起こす病気です。

症状として、元気・食欲がない、咳をする、痩せる、呼吸が苦しそうなどがあげられます。また、症状が進行してくると、おなかが膨らんできたり、赤みを帯びた尿をするようになったりすることがあります。

住んでいる地域にもよりますが、4月~11月にかけて月に1回フィラリア予防薬を投薬するのが一般的です。月に一度きちんと投薬することで、ほぼ100%予防することができる病気です。

寄生虫予防(ノミ、マダニ)

ノミやダニは体表や皮膚に寄生する外部寄生虫です。身体の特に耳の中や指の間、体毛の付け根などに寄生し、動物の血を吸って生きます。

そしてノミやダニは、吸血する際に犬や猫に刺激を与えてカユミをもたらすほか、アレルギーを起こす場合もあります。そのほか屋内に持ち込まれたノミは当然人間の血も吸いますので、ノミやマダニについては、フィラリア同様、駆虫薬があります。3月中旬~4月上旬頃からスタートし、12月ごろまで続けることを推奨しています。 なお、ノミは室内であれば年中生きていられるため、アレルギー体質の子は特に通年での投薬をおすすめします。

混合ワクチン接種

ウイルスが体内に入って発症してしまう感染症。それらを予防するためには定期的なワクチン接種が有効とされています。

ワンちゃんの場合は、法律で義務付けられている「狂犬病ワクチン」もありますが、ネコちゃんの場合は、法律で義務付けられたワクチンがありません。 今回はお伝えしたいのは、法律で義務付けられていないこの「混合ワクチン」についてです。

狂犬病予防注射

狂犬病は人間もワンちゃんもかかる病気で、狂犬病ウイルスの感染により発症します。

このウイルスは、感染している動物のだ液の中に大量に存在します。 感染した動物にかまれると体内にウイルスが侵入して感染し、約2~6週間で発症するといわれています。ウイルスはだんだんと脳や脊髄へと広がっていき、神経障害を引き起こし、犬も人もともにほぼ100%亡くなってしまいます。

とはいえ、狂犬病は人、犬ともにワクチン接種で防げる病気です。また、狂犬病予防接種は年に1回だけで良いので、その年に狂犬病予防接種を受けていれば新たに予防接種を行う必要はありません。

歯周病

歯周病とは、歯を支える歯茎や骨が破壊されることで、歯がぐらぐらになってしまったり、歯肉が炎症を起こして出血する病気です。

犬や猫の口内はアルカリ性のため、虫歯菌は増殖しづらいのですが、一方で人間同様、歯周病にかかりやすい動物です。歯周病は、歯と歯茎の隙間に歯垢が付着することが原因で発症します。 日常的に歯磨きをする機会が少なく、歯の汚れが付着したままになりやすいため、歯周病になることが多いです。

実は歯周病は単なる生活習慣病ではないのです。近年の研究によると、歯周病は全身の健康と深く関わっており、歯周病菌が血管に入り込むと、腎臓病や心臓病などの大きな病気の原因に繋がるということが分かっています。

健康診断

ワンちゃん、ネコちゃんは人間よりも早く歳をとりますので、8歳(人で約50歳)以上では、一気に病気にもなりやすくなるのです。

大切な家族の病気を早期に発見するためにも、1~7歳では年1回、8歳以上では半年に1回の定期検査をおすすめいたします。

定期的に健康診断を受けることで、現在の愛犬、愛猫が健康であると安心することもできますし、また、万が一異常が発見された場合も、手遅れにならない早期の段階で治療を受けさせることが可能となるのです。

避妊・去勢手術

望まない妊娠や出産を避けるために行われているのが避妊/去勢手術ですが、手術を受けることで男の子、女の子特有の病気の発症を予防することができます。

女の子の場合は乳腺腫瘍の発生率を低下させることができますし、子宮を摘出することで、子宮蓄膿症を避けることができます。男の子の場合も同様に、前立腺肥大症や睾丸腫の発症を防ぐことができます。


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