【夏は特に気を付けて】生き物による病気やケガ
目次
はじめに
気温が上がると生き物全般の活動が活発になります。 草むらに足を突っ込むことで、マムシに噛まれたり、山では野生の狸に疥癬(かいせん)をうつされたりする犬もいます。また、これは自然豊かな郊外に限ったことではありません。都会に多く生息しているネズミなども多くの病原体を運んでいます。都会郊外関わらず、病原体や原虫を持っている生物も多いため、くれぐれも愛犬が接触しないように注意が必要です。
日常的に遭遇する!ワンちゃんにとって危険な生き物6選
ネズミ
寄生虫やノミダニ、ウイルスなど、様々な害虫、菌を保有しています。特に代表的なものがレプトスピラ感染症です。主にネズミの尿に接触することで感染し、最初は発熱や食欲不振などの症状が見られます。さらに悪化すると、黄疸や鼻血、肺出血などの症状が起こり、最悪の場合は死に至る怖い病気です。おもにネズミなどの野生動物によって媒介され、田んぼや沼、湖などで感染のリスクがあります。そうした野生動物が生息する地域、特に山や川などのアウトドアで遊びに行くような場合には、レプトスピラ症が含まれているワクチン(7, 8, 10種)がすすめられます。
ヒキガエル
梅雨時には公園や草むらなど非常に身近に存在するヒキガエルもワンちゃんにとっては猛毒です。ぴょんぴょん飛ぶ姿はワンちゃんからすると好奇心をくすぐられるようで、お散歩中などに見かけるとついつい追いかけてしまう子も多いのですが、誤って口にすることで、中毒を起こして命を落とす可能性があります。ヒキガエルは外敵から身を守るため、後頭部(耳のあたり)から毒性物質を分泌しています。この毒液を舐めたり、食べることで、ワンちゃんの体の中に吸収されてしまうと中毒を起こします。はじめはよだれや嘔吐、下痢などからはじまり、症状が進行すると呼吸困難や痙攣に陥り、死に至ることもあります。
カタツムリ・ナメクジ
誤って口にしてしまうと、嘔吐や下痢、けいれんなどの激しい中毒症状を起こすことがあります。住血線虫(ジュウケツセンチュウ)という寄生虫を媒介する可能性があるのですが、これは、ヒト並びに動物にも害を及ぼす人獣共通感染症です。ワンちゃんが感染した場合は、幼虫が神経を通って脳に達し脳炎を引き起こします。麻痺や失禁といった症状が見られ、最終的には死に至ることもある非常に恐ろしい病気です。国内においては沖縄における発生事例が多いのですが、カタツムリやナメクジ自体は日本のどこにでもいます。その他のエリアの方にももちろん感染いるとの報告があります。
タヌキ
感染すると激しいかゆみを引き起こす、疥癬(かんせん)というダニの一種を媒介する可能性があります。「疥癬」を発症すると、激しいかゆみが生じ、毛をむしる、皮膚を掻き壊すなどの症状が見られます。かゆみ以外の症状が見られないため、見た目にはアトピーや食物アレルギーと区別がつきづらいのですが、人にうつることもある『人獣共通感染症』ですので、原因が分からず身体をかゆがっている際は、速やかに動物病院を受診し、適切な検査を受けてください。日常的に野生のタヌキを見かけるエリアにお住まいの方は特に注意が必要です。
ヘビ
ワンちゃんがヘビに噛まれると出血や腫れを生じ、死に至る危険もあります。なるべく安静にさせながら、すぐに動物病院に連れて行きましょう。ワンちゃんがヘビに噛まれた場合には、①単純に噛まれただけのケースと、②噛まれて毒を注入されたケースの2種類があります。 前者の場合は単純に痛みや患部の腫れにとどまることもありますが、②毒液を注入された場合は、時間が経つにつれて症状が悪化し、血尿が出たり、血圧が下がってショック状態になったりと死の危険があります。 時間が経過すると状態が悪化し重症化することもありますので、一刻も早く動物病院を受診するようにしましょう。
ミミズ
死んで乾燥したミミズに興奮するワンちゃんは非常に多いです。ミミズにはワンちゃんが夢中になる物質が含まれており、お散歩中にミミズがいた場所から離れようとしなかったり、ミミズの死骸を背中にスリスリとこすりつけようとする行為はよく見られます。特に干からびたミミズはワンちゃんの大好物で、見つけるとぱくりとすぐに口にしてしまう子も多いのですが、これもやめさせた方が良いでしょう。ミミズ自体に毒性は無く、食べたからと言って嘔吐や下痢などの症状が起こるわけではないのですが、死んで腐敗したミミズには細菌が繁殖している恐れがあります。誤ってミミズを食べることがないように日ごろから拾い食いをしないようにしつけることが大切です。
愛犬を危険な虫や生き物から守るために
いかがでしたか。愛犬を虫や生き物から守るためには、飼い主さまが正しい知識を持ち、十分すぎるほどの対策を行うことにつきます。例えば、お出かけの際は服を着せるというのも非常に効果的です。被毛の間に虫や異物が入りづらくなり、皮膚の保護に役立ちます。また、草むらでうんちをしたがるワンちゃんは多いのですが、どんな危険な生き物が潜んでいるかわかりません。特に夜間などは何が落ちているか分かりませんし、瓶の破片などで足を傷つけかねません。リードを短く持つなどして、草むらにはできるだけ入らせないようにしましょう。