それって本当に体質?気になる愛犬の涙やけ 原因と対策・予防法

目次
1. 涙やけとは
涙やけとは、目から溢れた涙が、目の周囲の被毛に付着したことによって、そこが赤褐色に変色してしまっている状態のことです。
通常、涙は涙管という、涙を鼻に流すための通り道を通って鼻に排出されるため、目から溢れることはありません。しかし、いくつかの原因によって涙が目からこぼれ落ちてしまうことがあります。それが周囲の被毛に付着し時間が経つにつれて、涙の成分や増殖した細菌やカビによって赤褐色に変色してしまいます。
本来、涙は無色透明で、含まれる成分に害があるわけではないのですが、あふれた涙の成分が時間の経過とともに酸化したり、雑菌が繁殖したりすることで涙やけが起こります。
特に涙やけが起きやすい犬種としては、トイプードルやマルチーズ、チワワ、ポメラニアン、シーズーなどと言われています。
2. 涙やけの原因
「涙やけ」ができる原因は主に以下の6つと考えられています。
毛やごみなどの異物が混入している
眼に細かいゴミが入っている場合や、逆さまつ毛などの刺激物により角膜が刺激されると、涙の量が多くなり、あふれてしまいます。目の周りの毛が伸びていたり、瞬きが多く目が開きづらそうにしているなどがあれば、異物が混入している可能性があります。
短頭種などや生まれつき鼻涙管が細く涙が通りにくい
トイプードルやチワワ、パグやシーズーなど、口の長さが短い子は生まれつき鼻涙管が細い傾向があります。そのため、生産された涙が通り道の幅をオーバーしてしまい、目から涙が出やすくなっているといわれています。また、これらの品種でなくとも、結膜炎や外傷により、後天的に鼻涙管が細くなってしまうこともあります。以前はそうでもなかったのに、最近急に涙が増えてきた、という場合はこの可能性があります。
花粉症や食物アレルギーなどの体質で常に炎症を起こしている
ハウスダストや花粉、食物の刺激が原因で、涙が増加することがあります。
体を痒がっている、目の周りや耳などの皮膚が赤い、特定の場所や決まった時期に涙が出やすいなどの場合はアレルギーが原因の可能性があります。
症状が出ていても、何に対してアレルギー反応を示してしまうのか分からない場合は、一度動物病院でアレルギー検査を実施することをおすすめします。
フードやおやつに含まれる保存料や防腐剤などの添加物
近年の研究で、合成保存料や防腐剤といった添加物の摂取が、体内の老廃物を増やし、涙やけを悪化させるといわれています。これらの化学物質は、微量であればうんちと一緒に排出されるのですが、大量に含まれた食品を日常的に口にすることで、新陳代謝や腸内環境が悪化し、結果として体内に老廃物が溜まりやすくなります。
涙が増えているほかにも、目やにが出ている、皮膚や被毛がべたついているなどがあれば、これらの可能性があります。
マイボーム腺機能の異常
瞼の縁には、マイボーム腺と呼ばれる油分を分泌する部分がありますが、この部分が目詰まりを起こしていることで涙やけが悪化することがあります。
マイボーム腺から分泌される油は眼の表面を被っており、水分の蒸発や涙が過剰に流れてしまうことを防ぐ役割をもちますが、何らかの理由によりその機能が落ちると、涙が瞼をこえて眼の外に溢れてしまうのです。
他の目の病気がある
角膜潰瘍や緑内障など他に目の病気を患っている場合、涙の量が多くなることがあります。また、アレルギーや細菌感染による結膜炎も原因となることがあります。逆に涙が出なくなる場合はドライアイになります。

3. 涙やけの対処法と予防方法
犬の涙やけは適切な対処と予防によって改善することができます。ここでは、効果的な対処法と予防方法について詳しく解説していきます。
1. 定期的な目の周りのケア
涙やけの対処と予防には、定期的な目の周りのケアが不可欠です。特に涙が出やすい犬種の場合は、1日に数回目の周りを清潔に保つことが重要です。ケアするときは、清潔なガーゼやぬるま湯で湿らせたコットンを使用し、目の周りを優しく拭き取ってあげましょう。この際、目を傷つけないよう注意しながら、目頭から目尻に向かって拭くのがポイントです。
また、専用の涙やけクリーナーを使用するのもよいでしょう。クリーナーは涙の汚れを分解し、被毛の変色を防ぐ成分が含まれているため、日々のケアの効果を高めてくれます。
以上のような定期的なケアを続けることで、涙やけの悪化を防ぎ、犬の目の健康を維持することができます。
2. 適切な食事管理
適切な食事管理は、涙焼けの予防と改善に有効にはたらくことが期待できます。
犬の体質や健康状態に合わせたバランスの良い食事にすることで、涙の量や質を改善できる可能性があります。特に、オメガ3脂肪酸を含む食品やビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質が豊富な食材を取り入れるとよいでしょう。これらの栄養素は、炎症を抑制し、涙の質を向上させる効果が期待されます。
アレルギー反応が涙やけの原因となっている場合は、アレルゲンとなる食材を特定し、除去することも重要です。獣医師と相談しながら、犬の個別の状況に合わせた食事プランを作成してみるのもよいでしょう。
3. 専門家による定期的な健康チェック
涙やけの根本的な対処と予防には、専門家による定期的な健康チェックは欠かせません。
少なくとも年に1〜2回は獣医師による検査を受けるとよいでしょう。これにより、涙やけの原因となる潜在的な健康問題の早期発見につながり、適切な治療を開始することができます。例えば、検査により、鼻涙管の閉塞や目の感染症、アレルギーなどの問題が見つかることもあります。
また、定期的な歯科検診を受けることで涙やけにつながる口腔内の問題の発見につながることもあります。
さまざまな専門家の助言を受けながら、あらゆる側面からワンちゃんの健康状態を管理し、涙やけの予防と改善につなげてみてください。
4. 日ごろ工夫で花粉症対策
最後に、補足になりますが、花粉症への対策についても触れておきます。
ワンちゃんの涙やけの原因が、花粉と考えられる場合には、まず対象の植物を特定してあげてください。
対象の植物がわかることで、花粉が多く飛散している時間帯のお散歩は避ける、洗濯物は外に干さない、飼い主さまご家族も帰宅時、家に入る前に衣類やカバンについた花粉を払うようにする、などのような日ごろの工夫で対策ができるようになります。
できるだけ愛犬が花粉に触れないように気を付けてあげてみてください。
4. さいごに
いかがでしたか?
涙やけによって変色してしまった被毛は、カットする方法もありますが、根本的な解決にはなりません。誤ったケアでかえって悪化してしまう可能性もあります。目の病気が原因の場合もありますので、はっきりした原因を見定めるためにも、まずは動物病院で診てもらうようにしてください。獣医師に相談しながらご自宅でできるケアも並行して行い、改善を目指してくださいね。