ヨークシャーテリアがなりやすい病気 症状と予防法、治療費目安をチェック

病気・健康 2023.10.20

目次

  1. ヨークシャーテリアの健康と寿命
  2. なりやすい病気1.膝蓋骨脱臼
  3. なりやすい病気2 気管虚脱
  4. なりやすい病気3.環軸椎亜脱臼
  5. 治療方法と治療費目安

1. ヨークシャーテリアの健康と寿命

ヨークシャー・テリアの平均寿命は14〜16歳前後といわれており、比較的長生きな部類に入るでしょう。

ただ、小型犬のため、関節が弱い子が多く、通称パテラと呼ばれる膝の骨がずれてしまう病気になりやすい傾向があります。そのほか、壊死性白質脳炎という次第に脳の炎症や壊死が進行していく難病も、ヨークシャー・テリア、チワワ、パピヨンに特有の病気のため注意が必要です。

このように、犬種の骨格や遺伝的な要素によっても、特になりやすい傾向がある病気はいくつか存在します。こちらの記事では、ヨークシャーテリアがなりやすいといわれている病気についてや症状、予防方法などについてご紹介します。

2. なりやすい病気①「膝蓋骨脱臼」

膝のお皿が本来あるべきところから横方向にずれてしまうことで、後ろ足の膝関節に力が入らなくなり、歩き方に異常が出る病気です。

すべての犬種で脱臼が起こる可能性がありますが、中でもトイプードルやチワワ、ヨークシャテリアなどの小型犬は特に脱臼しやすい傾向があります。また、女の子の方が発症しやすく、発症率は男の子の約1.5倍だと言われています。

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)の症状

初期の場合は痛みが発生しないこともあるため、脱臼に気付けないことが多々あります。

症状が進行するに伴い、足を浮かせる頻度が増えたり、時間が長くなったりします。また、立っているときに膝をガクガク震えさせたり、遊んでいる最中に急にキャンキャン鳴いて痛がることも多いです。

脱臼は膝関節全体にダメージを与えており、骨へのダメージが蓄積すると骨の変形を、関節へのダメージが蓄積すると関節炎を起こし、最終的には歩けなくなることもあります。

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)の予防方法

先天的な原因で発症するのは防ぐことができませんが、日常生活の環境を整えることでリスクはぐんと減らすことが可能です。

床にカーペットを敷くなどして滑らないようにする、爪切りや足裏の毛のカットで滑らないようにする、高いところからジャンプをさせないようにする、高い場所に上ってしまわないように家具の配置に気を付けるようにしてください。

そのほか、抱っこしたときに落としてしまわないようにする、ドッグランなどで急な方向転換など膝に負担がかかる運動は避けさせる、肥満にならないようにする、など膝に負担をかけないように気をつけましょう。

3. なりやすい病気②「気管虚脱」

気管虚脱とは、呼吸をする際に、肺への空気の出し入れを行う気管が変形してしまい、呼吸が出来なくなる病気です。小型犬に多い疾患で、中高齢での発生率が高いとされていますが、若齢のワンちゃんでも見られます。

気管虚脱(きかんきょだつ)の症状

症状は、最初は軽い咳から始まって、喉につっかえるような咳、吐き戻すような動作、豚のような呼吸、ガーガーとガチョウが鳴くような呼吸などと進行して行きます。特に、興奮時や運動時に症状が現れることが多いです。症状が進行すると、呼吸困難を起こします。

気管虚脱(きかんきょだつ)の予防方法

遺伝的素因が関係していると考えられており、予防することは難しいですが、首回りを圧迫しないように肥満を防止したり、激しい運動や興奮を防いだりなどに気をつけることが、症状の悪化防止に有効だと考えられます。

4. なりやすい病気③「環軸椎亜脱臼」

環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)とは、7個ある首の骨の1番目(環椎)と2番目(軸椎)の関節が何かしらの原因で不安定な状態になってしまい、首への軽い負荷で簡単にはずれかかった(亜脱臼)状態になり、首の神経を圧迫することで、首の痛みや四肢の麻痺などの症状が起こる病気です。

外傷が原因の場合、年齢関係なくいくつになっても発症する恐れがありますが、先天性の場合は1歳以下で発症することが多いといわれています。

環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)の症状

症状は痛みやふらつき、歩幅が小さい、うまく歩けず転んでしまうなどの軽度なものから始まりますが、症状が進むにつれて起き上がれなくなったり、最悪の場合は呼吸停止により死亡に至ることもあります。

環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)の予防方法

残念ながら先天性の場合は予防することができません。一方、外傷などによる頚部脊椎の靱帯の損傷や骨折により脱臼が起こることもあります。外傷の原因として、交通事故や落下事故、他の犬とのけんかなどが挙げられますので、日常生活の中でワンちゃんが怪我をしないようにしっかり監督しましょう。

5. 治療方法と治療費目安

膝蓋骨脱臼 内科療法:手術を受けずに定期的な通院を行い内科的治療を行う場合、月に2回の通院だとして1回あたり3,000円~10,000円程度。年間6万円~10万円程度掛かります。

外科療法:外科手術を行う場合、術前検査、入院、手術、術後検診などをあわせて20万円~40万円という相場のようです。
気管虚脱 内科療法:咳止めの薬や器官を拡張する投薬治療を行う場合、月に2回の通院だとして1回あたり5,000円~10,000円程度。毎日の服薬に定期的な検査を行うとなると年間20万円~30万円程度掛かります。

外科療法:重度の場合はステント(網目状の筒)を挿入する外科手術を行いますが、外科手術の費用は、軽度の症状で30万円、重度の症状で約70万円ほどかかります。
環軸椎亜脱臼 内科療法:月に2回の通院だとして1回あたり3,000円~10,000円程度。加えて、定期的なMRIやCT検査を行うにあたり、5万円~10万円ほどかかります。

外科療法:術前検査、入院、手術、術後検診などをあわせて50万円~80万円という相場のようです。


ヨークシャーテリア一覧