連休に増える誤飲・誤食事故
目次
- はじめに
- 誤飲と誤食、年末年始に次いで8月が多い
- 真夏ならでは!運動量の低下も誤飲事故の増加につながっている!
- 夏の時期に誤飲・誤食しやすいもの
- 食べてしまったかもしれない…そんな時は
- 誤飲したかどうか分からない場合
- 症状が出るまでの時間
- おわりに
1. はじめに
たまの休日。愛犬と過ごす時間が増えて嬉しい!どこへお出かけしようか、と心を躍らせている方も多いかもしれませんが、連休は特に誤飲(ごいん)と誤食(ごしょく)に注意しなければなりません。誤飲誤食事故は、年末年始に最も多く発生していることは以前もお伝えしたことがありますが、年末年始に次いで8月、つまり夏休み時期や9月のシルバーウィークの時期にも非常に多く発生しています。
とっても楽しい連休に意外なものを食べてしまって病院に駆け込むことがないように、大切な愛犬を危険にさらさないためにも、よ~くご確認くださいね。
2. 誤飲と誤食、年末年始に次いで8月が多い
この時期に誤飲・誤食事故が増えるのは、年末年始に事故が多発するのと同様の理由です。 休暇に入り自宅で食事をする回数が増えることで、当然人間の食事や材料をうっかり落としてしまう可能性が高まります。また、連休はイベントごとが盛りだくさん。人と会ったり、珍しい人の訪問があったり、お酒を飲む機会が増えるでしょう。多少浮足立つ気持ちも当然ですし、アルコールが入ることで注意力も散漫になります。 普段は気にかけている室内環境についても、気が緩んでもおかしくありません。
また、1食分はお弁当やテイクアウトで済ませる家庭も増え、普段の平日に比べてゴミの量が倍増します。
3. 真夏ならでは!運動量の低下も誤飲事故の増加につながっている!
更には、ここ数年の日本の猛暑も影響していると考えられます。あまりの暑さに、春や秋に比べてお散歩時間も短めに、回数も減らしているという方も多いのではないでしょうか。本来はお散歩や運動などで発散されるべきエネルギーを、お留守番などで家の中にいることで、ため込んでしまい、どこかにエネルギーを放出しようとして一生懸命に遊びます。このエネルギーがイタズラという方向に向かうこともあるのです。
普段は口にしないものをわざと咥えてみたり、今まで興味を持ったことがないものに興味を示して執着した結果、ごくんと飲み込んでしまうケースもあります。
4. 夏の時期に誤飲・誤食しやすいもの
トウモロコシの芯
捨ててあったゴミ袋から勝手に見つけてくるケースが最多。飲み込んでしまった場合、腸閉塞に陥る危険性が非常に高く危険です。割りばしや爪楊枝
普段よりもお惣菜やお弁当を利用する機会が増えることで、付属の割りばしを受け取ることが増えると思います。鋭利な破片が食道や腸を傷つけることで、内臓出血を起こす可能性があります。焼き鳥の串やオードブルのピック
人が集まるときのパーティー料理にも、危険な部材は多く使われています。上記同様、鋭利な破片が食道や腸を傷つけることで、内臓出血を起こす可能性があります。保冷材のパック
この時期は食品を買うともれなく保冷剤を付けてくれることも多いのですが、保冷剤に含まれる「エチレングリコール」という成分を摂取してしまうことで中毒を起こしてしまいます。冷蔵庫に入れる際に、キッチンに置きっぱなし、は厳禁です。アイスの棒
この暑さですから、冷凍庫に常備している方も多いのではないでしょうか。アイスの棒も誤飲事故のTOP3に入ります。丸ごと呑み込んでしまった場合、食道や腸で詰まる可能性があります。噛み噛みしてから一部飲み込んだ場合も、たとえ小さくとも、鋭利な破片が食道や腸を傷つける危険性があります。果物の種
夏は水分補給もかねて、おやつ代わりに果物を与えるという飼い主さんも増えます。例えばスイカの種程度の大きさならば弁で排出されますが、直径2センチ以上ある少し大きめな種は体外に排出されず、窒息や腸閉塞を引き起こす恐れがあります。また、モモとサクランボについては種自体に犬にとって有毒なアミグダリンという成分が含まれているため危険です。ビニール袋
食品を入れたり包んだりするビニール袋。普段の平日に比べて、買い物に行く回数が増えることで、誤飲の原因となりやすくなります。気管に詰まるほか、腸閉塞の危険もあります。5. 食べてしまったかもしれない…そんな時は
まず、目の前で誤飲があった場合は、すぐにかかりつけ医、もしくは近くの病院に連絡をし、指示を貰うようにしましょう。 何時ごろ、どれくらいの大きさの、何を飲み込んでしまったのかを伝えましょう。基本的には水を飲ませたり無理に吐かせることはせず、電話で看護師さんや獣医師の先生の指示に従い行動していきましょう。 そのサイズならば様子を見て、と言われることもあるでしょうし、今すぐ吐かせましょうと指示されることもあるでしょう。かかりつけ医の指示に従ってください。
誤飲・誤食の場合は早急な処置が何より重要となります。あまり時間が経っていない場合(3時間以内が目安)、病院で吐かせる処置(催吐処置)を行うことが可能です。
6. 誤飲したかどうか分からない場合
「ごっくん」と飲み込んだ現場を見た場合は、明らかに「誤飲」であるとわかりますが、飼い主さんが不在の場合や一瞬目を離したすきに誤飲・誤食をしてしまっているケースも多いです。そうしたときは、飲んだかどうか分からない状況で、今すぐ病院に行くべきだろうか、と多くの飼い主さんが悩むと思います。
誤飲したかどうか分からない場合、もし実際に誤飲をしていれば、異物が入る・詰まった場所によって症状が異なります。
7. 症状が出るまでの時間
誤飲をした場合、詰まる場所は⑴食道、⑵胃、⑶腸の三カ所です。それぞれ症状が出るまでの時間が異なります。食道に詰まった場合:食べてすぐ・数分後
食道が閉塞した場合、誤飲・誤食後すぐにはっきりとした症状がみられることが多いです。大量のよだれが出る、部屋の中を歩き回る(落ち着かない)、吐くしぐさをするのに何も出てこない、呼吸困難などがみられます。 また、中毒物質を誤飲した場合もすぐに嘔吐の症状が出ることが多いです。
胃に詰まった場合:2時間程度後
食べたものは5秒程度で胃に異動し、胃の中で30分から2時間でほど停滞、その後、腸に異動します。飲み込んだモノが胃の中でとどまり、腸の方に流れず詰まると、食欲不振、繰り返す嘔吐、えずき、腹部膨張、便秘のような症状がみられます。
腸に詰まった場合:4時間程度後
誤飲・誤食をしてから時間が経過して、腸に異物が詰まる腸閉塞を起こした場合も食欲がまったくなくなり、嘔吐を繰り返す、ウンチが出ない、腹痛、血便などの症状がみられます。腸閉塞は誤飲・誤食をしてから2-4時間経過後に嘔吐や腹痛などの症状から始まることが多いです。腸が完全に閉塞するまでは2-3日かかります。
このように、誤飲事故は「今は大丈夫」があてになりません。 異物を食べたことが分かっている場合は、迷わず動物病院に向かいましょう。
食べたかどうか分からない、という場合でも、毎日うんちをするワンちゃんが、一日以上うんちをしない場合や、急に食欲がなくなって動かない場合などは、誤飲の可能性も疑い、動物病院に連絡してください。
8. おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は気を付けていただきたい夏に多い誤飲・誤食事故についてお伝えいたしました。 誤飲・誤食事故は、最初は無症状なことが多いのですが、だからと言って大丈夫とは限りません。
もし症状がなくとも、ウンチと一緒に異物が出てくるまでは注意が必要です。排泄までは個体差もありますが、だいたい半日から2日程度かかります。まったく症状がなく元気であったとしても、排出されるまではきちんと確認するようにしてください。 いうまでもなく、誤飲誤食事故は飼い主さまの注意で防ぐことができます。
飼い主さまと愛犬が楽しい休日を過ごせるように、この時期は普段よりいっそう注意を払ってあげてくださいね。