ワンちゃんのマッサージ方法

知識・お役立ち 2023.09.13

目次

  1. はじめに
  2. マッサージすることで得られる代表的な効果4つ
  3. マッサージをする際の注意点
  4. それではマッサージを始めましょう
  5. 代表的な部位8つとマッサージ方法
  6. 要チェックポイント
  7. おわりに

1. はじめに

突然ですが愛犬の身体をマッサージしたことはありますか?

年末に椎間板ヘルニアを発症した愛犬(チワワ、9歳)。先週もまた具合が悪くなり、病院を受診したところ、担当医から毎日のマッサージを勧められ、以降毎日取り組んでいます。

というわけで、今回はマッサージの効果とそれぞれの部位ごとのマッサージ方法について、共有させてください。

まだお迎え間もない方や、まだ3、4歳と若齢のワンちゃんと暮らしている方は、あまりピンと来ないかもしれませんが、ワンちゃんも私たち人間同様、生活する中で、身体が凝ったり筋肉が固くなることがあります。

気温が高い夏は起こりづらいですが、筋肉が凝り固まった状態でお散歩に行き、突然歩き出すことで、思わぬケガをしたり、我が家の愛犬のようにヘルニアを発症してしまったりなど様々なリスクがあります。

このようなことを避けるためにも、普段から習慣的にマッサージしてあげて、筋肉や骨格をほぐしておいてあげることは大切です。筋肉の凝りをほぐしたり、胃腸の運動を促進したりできるなど、様々な健康効果が期待できますよ。

2. マッサージすることで得られる代表的な効果4つ

1. 血流改善

マッサージをすることで、全身のこわばりが解消され、血液のめぐりが良くなります。

血液の流れが悪くなるということは、全身に十分な栄養や酸素が行き届かないということですから、体が冷えたり、肩こりや腰痛、内臓機能の低下や関節痛など、様々な不調を引き起こします。つまり、血行の促進は、病気や症状の治癒や緩和に繋がる可能性があるのです。

また、マッサージには血流を良くし、体温を高める効果があります。人間と同様で、体温が上がることで、基礎代謝があがり、免疫力アップにつながります。

2. リンパの流れ解消

当然ですが、ワンちゃんにも人間同様、全身にリンパ管という器官があります。

リンパは身体の老廃物や余計な水分を改修したり、ウイルスや菌の感染を食い止めるなど重要な役割を果たしています。ここが詰まってしまうと、リンパのはたらきが弱くなるため、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなります。

実際に細菌やウィルスなどに感染すると、ワンちゃんもリンパ節が一時的に腫れて大きくなる反応が見られます。これは必死にリンパ節部分で細菌を食い止めようと戦っているためです。

マッサージを行うことで、リンパの循環が良くなり、抵抗力を高めることができます。

3. 筋肉をほぐす

マッサージを行うことで筋肉をほぐすことができます。 健康なワンちゃんであれば、リラクゼーション効果がありますし、一方、寝たきりになってしまったシニアの場合筋肉をほぐしてあげたいときにも良いですし、病気やケガの後のリハビリとしても良いです

4. ストレス解消

お散歩やおもちゃ遊びがワンちゃんの代表的なストレス解消法として知られていますが、マッサージも実はとても効果的です。 ツボを刺激することで緊張による体のコリをほぐすことができますが、緊張がほぐれることで、身体が軽くなりリラックスできます。加えて、飼い主さんとのスキンシップが増えることで、心理的なストレス緩和にもつながります。

3. マッサージをする際の注意点

そんな良いことだらけのマッサージなら、すぐやってみようかな!なんて思ってくださった方もいるかもしれませんが、注意点もありますので気を付けてください。

マッサージの方法としては、大前提として「嫌がる場所は触らない」ようにしてください。

マッサージはリラックスしてもらうこと、ワンちゃんに飼い主さまに触ってもらえてうれしいな、気持ちいいなぁと思ってもらうことが一番の目的です。無理にツボを押したり、押さえつけて行う必要はありません。身体をなでる延長としてはじめて見てください。

また、気分じゃないときは無理に行わないことです。逆にストレスを与えてしまうことになりかねません。 普段は大好きなマッサージも、その日の体調によっては嫌がることがあるかもしれませんので、何よりその日のワンちゃんの体調を見て、実施するか否かの判断をようにしてください。

加えて、激しい運動や食事をした直後もマッサージは避けてください。体温の過度な上昇や消化不良を引き起こす可能性があります。 マッサージを行うのは、ワンちゃんがうとうとしているとき、リラックスしている時間帯がベストです。

そして、最も重要な点ですが、現在治療中の疾患・持病がある場合は自己判断では行わないようにしてください。 身体を温めたり、疾患部位に触れることで、かえって悪化する可能性もあります。必ず事前に担当医に指示を受けるようにしてください。

4. それではマッサージを始めましょう

まずはワンちゃんに声を掛けましょう。

「マッサージするよ」と声をかけながら実施してあげると、よりワンちゃんが安心できます。毎日繰り返すことですぐに言葉の意味を覚えてくれるでしょう。

マッサージをする前に、全身をリラックスさせる為に手の平で被毛の流れにそって撫でて下さい。いきなり「首」や「肩」などピンポイントに触ると、ワンちゃんもびっくりしてしまいますのでNGです。

具体的には、まずはワンちゃんの背骨に沿って、首の後ろから腰にかけて手の平で優しく数回撫でましょう。続いて前肢と後肢を優しく手の平で数回撫でるようにします。 これだけでも血流の循環を促すことができます。

その次はお腹です。お腹を優しく上から下へと撫でていってあげましょう。全てにおいていえることは強い力は必要なく、優しく体をほぐしてあげるようなつもりで実施することです。

ワンちゃんの身体を触る際は、優しく声を掛けながら実施しましょう。飼い主さんが自分に意識を向けてくれている、撫でてくれている、これだけでもワンちゃんの心は満たされています。

5. 代表的な部位8つとマッサージ方法

1. 背中

背中をマッサージするときは、ゆっくりと撫でるイメージで首からおしりにかけてほぐしていきます。 まずは10回ほど、背骨のラインに沿って手のひらで優しくさすってあげます。優しく撫でることで犬も安心を感じやすいためマッサージの初めに行うのもオススメです。少し慣れたあとに、背骨に沿って親指の腹を優しく当てていきます。

2. 脚の付け根

脚の付け根から足先にかけて、優しく手の平を当て、円を描くように触っていきます。 また逆方向で、爪先から脚の付け根に向かい、血液やリンパを流すようにマッサージをします。これを数回繰り返しましょう。

3.腹部

お腹は動物にとって内臓が近いデリケートな部位です。 いきなり下腹部を触られるとびっくりしてしまいますのでやめましょう。まずは胸の部分を優しく撫でて、慣れさせます。そうしてそのまま手を下にスライドさせ、下腹部をゆっくり撫でていきましょう。 決して強く押しすぎないよう、優しく撫でるようにお腹をさすることがポイントです。押すのではなく、手のひらで温めるイメージで行いましょう。腸の動きが改善され、便秘解消の効果があります。

4. 首

飼い主さんを見上げる姿勢になることが多い犬にとって、首は凝りやすい部位です。筋肉の緊張を優しくほぐすイメージでマッサージしてあげましょう。 親指と人差し指で首の筋肉を優しくつかんで持ち上げます。掴んだ部分を3秒ほど数えながら少し引っ張りあげてゆっくり戻したりする動作を繰り返します。そのほか、首から背中側に指を滑らせることでほぐす方法もあります。

5. 顔

両方の眉頭にあるツボで、緊張をほぐしリラックスさせる働きがあります。 親指と人差し指で眉頭を押さえ円を描くように、眉の間から鼻先にかけて優しく撫でましょう。

6. 耳

よく使う耳とその周囲の筋肉も、緊張して凝りやすい場所です。優しくほぐしてあげましょう。 まずは耳を優しく縦に引っ張ります 指の腹を使って、親指と他の指の間に耳を挟むようにし、耳の根元から先端へ向かってスッと引っ張ったりして軽くマッサージしてみましょう。 耳の付け根部分を優しく指で押すのも効果的です。

7. 目

目の周囲を、内側から外側にかけて優しく撫でる、指を優しく滑らすようにするとよいでしょう。指先が目の中に入らないように注意してください。

8. 肉球

親指と人差し指で挟んでムニムニ。肉球を広げるように、飼い主の親指で押していきます。 そのほか、肉球の間を、指で挟むように、優しくもみます。乾燥していないかなど、良く観察するようにしましょう。

6. 要チェックポイント

マッサージを行う際のポイントは以下の4点です。

  • 揉むのではなく、撫でる
  • 手は温めてから
  • 早く動かさない、ゆ~っくり行う
  • 優しく声を掛けながら
また、触れた際に嫌がる部分がある場合は要注意です。

「キャン」と鳴くときは明らかに痛みがある証拠なので分かりやすいのですが、「やめて」と前肢でガードしてきたり、身体をひねらせて逃げようとしたりなど、何かしらのサインがあると思います。 こうした行動があった場合は、どの部分を触ると嫌がるのかメモをしておきましょう。そうしてむやみやたらに触らないようにしてください。

今が特に目立った症状がない場合でも、不調を抱えている可能性があります。現在元気いっぱいで、特に変わった様子がないとしても、早いうちにかかりつけ医で診てもらうことをおすすめします。

更に、これも担当医から教えてもらったのですが、もし痛みを抱えている場合は、飼い主さんがその痛い箇所を「触った瞬間」に、普段は柔らかいお腹の筋肉が緊張して固くなる特徴があるとのことです。

私もこれをサインとして、毎日の愛犬の腰の具合を確認するようにしています。今日は良さそうだから少しはお散歩いけるかな?あれ、今日はいつもより硬くなった、お散歩はやめておこう、などという調子にですね。豆知識として覚えておいても良いかもしれません。

7. おわりに

いかがでしたか。今回は愛犬の健康維持とマッサージについてお伝えさせていただきました。

まだまだ若いワンちゃん。今のところ何も問題なく元気いっぱい!かと思うのですが、1年1年歳を重ねるごとに、私たち人間と同様、どこかしら具合が悪い、という部分は出てきます。また、シニアになれば腰や首が曲がってきたり、足が痛くなって長距離を歩けなくなったりと、私たち人間と同じ、老化に伴う体の変化が起こります。 マッサージは自然治癒力を高め、日々の健康増進に役立ちます。

今から毎日取り組んでいただくことで、筋肉や骨格のコリをほぐし、ケガの予防やヘルニアや関節炎などの防止に繋がるかもしれません。また、体温が上がることで免疫力が高まり、ウイルス性の疾患にかかりづらくなります。そして、シニアになった際に1日も長く、お散歩を楽しむことに繋がるかもしれません。

そうした様々な健康上効果を差し置いても、マッサージ自体が飼い主さんとの貴重なスキンシップの時間になります。

大好きな飼い主さんに触ってもらえること、声を掛けてもらうことで、ワンちゃんはリラックスできます。その結果、飼い主さんとの絆が深まるのが、マッサージの最も大きな意義です。 ワンちゃんとのスキンシップも兼ねて、直接触れ合うコミュニケーションであるマッサージを今日から始めてみてください。


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