ワンちゃんの死因TOP ガンについて学ぶ

知識・お役立ち 2023.09.13

目次

  1. はじめに
  2. ワンちゃんの死因TOP3
  3. ワンちゃんに多い4つのガン
  4. ワンちゃんのガンの症状
  5. ガンの原因と予防方法って?
  6. 要チェックポイント
  7. 今日から毎日身体を触るようにしましょう
  8. おわりに

1. はじめに

今回はワンちゃんの「ガン」についてお伝えさせていただきます。

「うちの子はまだ若いし」「縁起でもないこと言わないで」なんて思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ワンちゃんの死因のトップは人間と同じくガン、つまり腫瘍です。

加齢に伴う発症や遺伝による影響も大きいことから、努力によって避けられるという問題ではないかもしれませんが、ワンちゃんがまだ若い今のうちから、飼い主さまがきちんと知識をもって、日々向き合っていくことは、絶対に無駄なことではありません。 今回はワンちゃんに多いガン(腫瘍)と、手遅れにならないために今日から始めたいことについてお伝えします。

2. ワンちゃんの死因TOP3

日本アニマル倶楽部(現SBIプリズム少額短期保険株式会社)の発表によると、ワンちゃんの亡くなる三大原因は、腫瘍、心臓病(循環器疾患)、腎不全(泌尿器疾患)となっています。

更に、このうち、ガンの割合が半数以上を占めています。ガンといってももちろん良性と悪性があり、また適切な治療を行うことで問題なく完治が見込めるものもあります。

3. 犬に多い4つのガン

以下が、ワンちゃんに多いと言われている4つのガンです。

またこれらは「体のどこかにできものがある」「しこりができた」という発見から来院し、診断を受けるケースも多いため、飼い主さまにも良く注意してみていただけたらと思います。

犬に多いガン①リンパ腫

リンパ球が腫瘍化して発生するガンです。肝臓や脾臓、腎臓などの内臓にも発生しますが、最も多く見つかるのはその名前の通り「リンパ」です。 リンパ節とはリンパ液が流れているリンパ管が集まっている場所のことを指します。

ワンちゃんのリンパ節は⑴前足の付け根、⑵後ろ脚の付け根(人間でいう太ももの付け根)、⑶膝の裏側(太ももの後ろ)、⑷下あごと首の境目、⑸首と胸の境目、の5カ所に左右一対ずつあります。

リンパ腫になると、これらの箇所がぼこぼこと腫れるため、飼い主さんが最も気が付きやすい腫瘍だと言われています。

犬に多いガン②肥満細胞腫

肥満細胞腫とは、ワンちゃんに見つかる悪性腫瘍のうち、最も多いガンです。最初は皮膚にできることが多いのですが、肝臓や脾臓、腎臓など全身あらゆる箇所に発生し、転移をします。

これについても、まずは皮膚にしこりやできものという形で見つかることが多く、検査の結果その他の部位にも腫瘍が見つかることが多いです。 発見が早ければ、皮膚に出来た腫瘍を外科的に切除することで、完治が可能です。

犬に多いガン③乳腺腫瘍

女の子のワンちゃんで圧倒的に多いのが乳腺腫瘍です。その名の通り乳腺が腫瘍化することで起こる病気で、中高齢の女の子に多く発生します。良性と悪性の確立が50%ずつの、命にかかわるガンのひとつです。

ひっくり返ってへそ天(お腹を見せてもらう)をした際に、乳頭が確認できると思いますが、この乳頭下(胸や脇の下、下腹部、内股)にぐりぐりとした「しこり」ができます。

発症する子の多くは避妊手術を受けていないことが多いことから、はじめてのヒートを迎える前に手術を受けさせることが、一番の予防であるとされています。

犬に多いガン④悪性黒色腫(メラノーマ)

「メラノーマ」という言葉は聞いたことがある方も多いかもしれません。

シミの原因でもある、メラニン色素を作るメラノサイトという細胞が腫瘍化することで、ほくろの様な見た目の黒い腫瘍となります。

特に眼のふちや口の中にできることが多いです。基本的には外科手術で切除を行いますが、目の中や口内などで切除が難しい場合は放射線治療を組み合わせて行います。

4. ワンちゃんのガンの症状

残念ながら、ガンの発生初期には症状がほとんど見られないことが多いです。また、症状もがんが発生する場所によってさまざまですが、以下が、多くのガンに共通してみられる症状となります。

・皮膚にしこり・腫れ・ぐりぐりしたものがある(リンパ腫・皮膚がん・乳腺がんなど)
・体重減少(全てのがんに一般的にみられる症状)
・元気がない・散歩の途中で座り込む(全てのがんに一般的にみられる症状)
・なかなか治らない傷や皮膚炎がある(皮膚がん・リンパ腫など)
・咳・鼻汁・鼻血(鼻腔内腫瘍・肺がんなど)
・下痢・嘔吐

5. ガンの治療法

ガンの治療法としては、代表的なものとして以下の3つがあります。

  • 外科療法
  • 放射線療法
  • 化学療法
今回ご紹介した4つのガンのうち、肥満細胞腫やメラノーマについては、見つかった場所にもよりますが、外科手術で切除を行うことが基本となり、その後、抗がん剤治療を行ったり放射線治療などが選択されます。

部位によって切除が難しい場合や、リンパ腫については、放射線治療をメインに行うことが多いです。

6. ガンの原因と予防方法って?

私たち人間と同じで、ワンちゃんのガン発症についても、環境要因・遺伝的要因などの危険因子が複雑に絡み合って発症していることが多いです。

そのため、何をしたらガン予防になる、などとはっきりとしたことは言えないのですが、以下のような「健康上避けたほうが良い」とされているものについては、できるだけ減らしていくことが大切です。

  • 運動不足
  • 肥満
  • 受動喫煙
  • 不妊手術の実施
  • バランスの良い食生活
  • ストレス
例えばその代表が肥満や運動不足です。適度に運動を行い、適正体重を維持することは健康管理の要です。 そして沢山の言葉と愛情をかけると同時に、苦手なことは避けることで、ワンちゃんにとってできるだけストレスが少ない生活を送ってもらうことも非常に大切です。

また、食事についても同様です。糖質(炭水化物)はガン細胞のエサとなるため、与え過ぎはNGです。そのほか、人間の食事をお裾分けしないことや良質なたんぱく質を十分に与えること、また、添加物が多いフードやおやつも減らすことも大切です。 ワンちゃんの食事は飼い主さんがコントロールできることです。神経質になったり過度にこだわる必要はありませんが、バランスよい食事を心がけましょう。

7. 今日から毎日身体を触るようにしましょう

腫瘍は人と同様に発見が早いほど完治を見込めますが、遅くなれば完治が難しくなります。同じ腫瘍でも進行度(ステージ)によって状況が大きく変わってきます。

よって、腫瘍の治療は初期段階から始めることが非常に大切です。早期発見、早期治療によって全身への転移などのがんの悪影響を防ぐことができるのです。

飼い主さま、毎日スキンシップを兼ねて、ワンちゃんの頭の先から尻尾の先まで、マッサージをしてあげてください。

毎日さわる、さわられるという習慣をつけることで、万が一しこりが発生した場合も、「いつもと違う」「こんなのあったっけ?」という違和感に通じ、万が一の際も早期発見が可能となります。

また、腫瘍の発見というだけでなく、マッサージ自体に血流を良くし、体温を高める・免疫力を高める効果があります。 優しく声を掛けながらワンちゃんの全身を触ってあげ、特に先ほどお伝えしたようにリンパ節の周りは特に丁寧に、優しく流すように触るようにしてあげてください。

8. おわりに

ガンは命にかかわることも多い、恐ろしい病気です。 繰り返しになりますが、ガンで苦しまないためには早期発見と早期治療がとても大切です。

初期のガンでは症状がないことも多いので、年に一度は必ず健診を受けてあげてください。また7歳以上になったら、元気であっても半年に一度のペースで健診を受けましょう。

大切なワンちゃんに1日も長く元気でいてもらえるよう、毎日のスキンシップを通じて健康観察に取り組んでくださいね。


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