常同障害について学ぼう

知識・お役立ち 2023.06.20

目次

  1. 常同障害とは
  2. 特定の常同障害を発症しやすい犬種
  3. 常同障害の原因
  4. 常同障害の対処法

1. 常同障害とは

常同障害とは、人間でもみられるものです。

強迫性障害という言葉を聞いたこともある方も多いと思いますが、自分の意思に反してある考えが頭に浮かんで離れず(強迫観念)、その強迫観念で生まれた不安を振り払おうと何度も同じ行動を繰り返してしまうこと(強迫行為)をいいます。たとえば、手が不潔に思えて過剰に手を洗ってしまうことや、外出した後も鍵を閉め忘れたのではないかと不安になり、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないといったことがあります。

これはワンちゃんにも同じように発症することがあります。例えば自分の尻尾を追ってぐるぐる回る、自分の身体を舐め続けるなどの行動が最も多く見られるものです。そのほか、陰や光を追う、自分の後ろを気にして何度も振り返る、ぐるぐる同じ場所を歩き回るなどもあります。

2. 特定の常同障害を発症しやすい犬種

常同障害自体はどの犬種も発症する可能性がありますが、以下の犬種では特定の行動が現れやすいことが分かっています。

  • しっぼを追う:柴犬
  • 自分の身体を舐める:トイプードル
  • 陰や光を追う:ボーダー・コリー
  • 尻尾を追う:シェパード
  • 後ろを気にして振り返る:ミニチュアシュナウザー

3. 常同障害の原因

常同障害自体は、元を辿ればストレスや欲求不満を解消するための行動でした。

それがだんだんエスカレートして、他のことで気を紛らわすことができなくなってしまいます。例えば、散歩や食事中などにも一度始まるとどうにも収まらなくなり、日常生活にも支障が出るほどの状態になります。 夜中に突然始まったり、楽しく遊んでいる最中に始まるなど、その子によって始まるタイミングも様々で、飼い主さまも予測がつかない点も特徴です。

発症のきっかけとしては事故による怪我や病気の治療なども多いとされており、もともとはその他の病気が原因で始まったものの、完治後もその行動のみが収まらず、症状が止められないということが多く見られます。

4.常同障害の対処法

完治することが難しい病気といわれていることもあり、その子の個性の一つと考えて長期的に付き合っていく必要があります。

動物病院においてはまず脳神経の病気や皮膚病の病気の可能性がないかを検査します。例えば、身体の一部がかゆいことからぐるぐると尻尾を追いかけまわしている、という可能性もゼロではないからです。

その後、常同障害と診断されたのちは、抗うつ剤などの薬剤による治療と並行して生活環境の改善を行います。

現在の生活にストレスはないか、食事や生活スペースが最適か、運動やお散歩は十分かなどについてもしっかりと見つめ直しながら、ワンちゃんが生活する中で出来るだけストレスを感じないような生活に変えていきます。

また、日常の様子を観察することで、これをすると症状が出やすい、ということも分かってきます。そうした状況を避けたり、症状が出る前に飼い主さまが気をそらさせることを繰り返すことで、徐々に発症の頻度を減らしていきます。

その他の病気もそうですが、常同障害についても早期発見、早期治療がなにより重要です。思い当たる症状がある場合は、できるだけ早急に動物病院を受診し見解を聞きましょう。専門の知識を持つ動物病院を紹介してもらってください。


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