【ワンちゃんの死亡例も】大切な愛犬を危険なマダニから守りましょう
目次
- はじめに
- 2023年は過去最悪ペースのマダニ発生率
- マダニとは?
- マダニが一番多いシーズンは?
- ワンちゃんが刺されやすい場所と刺された際の症状
- マダニに刺されることで引き起こされる病気5つ
- 愛犬がマダニに刺されたら
- マダニに刺されないためには
- 大切な愛犬を恐ろしい害虫から守りましょう
1. はじめに
今回は10月から11月がピークといわれているマダニの脅威と感染症リスクについてお伝えします。マダニというとフィラリアやノミダニ予防とセットで認識されている方が多く「そんなのもちろんやってるわよ」と思われる方も多いのではと思いますが、多くの方がイメージする「ノミダニ」と「マダニ」は全く別物です。
「ノミダニ」と呼ばれるものはいわゆる一般に家の中に住むダニ(イエダニやヒゼンダニなどの微小ダニ)のことですが、マダニはそれらの約8倍〜10倍の大きさです。そして固い外皮に覆われた比較的大きなサイズをしています。
ワンちゃんに寄生するダニの中で特に危険なのが、この「マダニ」。最悪の場合は命を落とすケースもあります。
2. 2023年は過去最悪ペースのマダニ発生率
2023年10月現在、過去最悪ペースといわれるほど例を見ないスピードでマダニが増殖しており、私たち人間についてもマダニが媒介する感染症の報告数が増加しています。その原因としては温暖化や野生動物の生活圏の変化など様々な環境変化が組み合わさっていることが要因といわれていますが、先月も福岡で90代の女性がマダニ感染症でお亡くなりになりました。また、先日「EXILE」のATSUSHIさんが発表した「ライム病」もマダニが媒介する感染症として知られています。
このように普通に生活している私たち人間にとっても脅威のマダニ。地面に近い場所で生活し、お散歩などで土手や草むらに行く機会が多いワンちゃんにとってはどれほど危険かということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
いうまでもなく、愛犬の安全を守れるのは飼い主さまだけなのです。 そして知らないこと、知ろうとしないことは、知らず知らずのうちに愛犬を危険にさらしてしまう可能性もあります。確かに予防薬をしておけばとりあえずは大丈夫、ではあるのですが、だからといって一蹴することはせず、ぜひお時間があるときにでもご一読いただけたらと思います。
3. マダニとは?
マダニとはノミやシラミの仲間で、血液を吸って生きる寄生生物です。日本には約50種類程度が生息していると言われています。成虫の大きさは3~8mm程度で、肉眼でも見ることができます。 地域によって生息数が多いマダニも様々なのですが、北海道から沖縄まで必ず何らかの種類のマダニが生息しているので注意が必要です。 マダニはその種類問わず、いずれも山林や草地、野外の環境に多く生息しています。都市部や市街地も例外ではありません。4. マダニが一番多いシーズンは?
マダニは一年中存在しますが、特に暖かい季節に活動が増加します。春と秋、2回のピークシーズンがありちょうど今、9月-11月がピークにあたります。春に吸血したマダニは、夏にかけて卵を産み、秋に幼ダニが孵化します。孵化した場所で固まって生息しているのでお散歩中にその巣に踏み込んでしまうと、大量寄生される場合があります。
5. ワンちゃんが刺されやすい場所と刺された際の症状
草むらに顔を突っ込む際に刺されることが多いため、首元や耳、マズル(鼻先)や目の周囲、顎の下などが多いです。そのほか、お尻や内股など、比較的毛が薄い場所を好んで寄生します。ワンちゃんがマダニに噛まれた場合、次のような症状が現れることがあります。
- 噛まれた部位の赤みや炎症
- かゆみや掻痒感
- 噛まれた部位に腫れ
- 体調不良、食欲不振
- 発熱
6. マダニに刺されることで引き起こされる病気5つ
マダニによっては病原菌を媒介する可能性があるため、感染症の症状も発症することがあります。これらの感染症は命を落とす危険性が高いものも多いほか、私たち人間にもうつる感染症(人獣共通感染症)もあり、特に注意が必要です。
1. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染する感染症です。6~14日の潜伏期ののち、発熱や消化器症状(嘔吐、腹痛、下痢など)が見られ、致死率は6.3~30%と言われている恐ろしい病気です。非常に感染力が強い人獣共通感染症のひとつであり、ワンちゃんから人間に移ることもあります。
2.ライム病
マダニを介してボレリアという細菌に感染することで発症する感染症です。ワンちゃんが感染すると、関節炎、発熱、筋肉痛、食欲不振などの症状が現れ体重が減少します。感染が進行すると、腎臓や心臓にも影響を及ぼすことがあります。非常に感染力が強い人獣共通感染症のひとつであり、ワンちゃんから人間に移ることもあります。
3.犬バベシア症
マダニが媒介するバベシアという原虫がワンちゃんの体内に入り込み、赤血球に寄生して破壊することで貧血を引き起こす病気です。 2~3週間の潜伏期の後、食欲の低下や発熱、黄疸、血色素尿(赤褐色のおしっこ)などの症状があらわれます。重症化すると多臓器不全に陥り、命に関わることもあります。バベシア症は西日本で比較的多く発生していましたが、近年では温暖化の影響もあり東日本での感染もみられるため、全国的に注意が必要です
4.バーレット症候群
バーレット症候群は特にヒメマダニによって媒介される感染症です。ワンちゃんが感染すると赤血球が破壊され、貧血が起こります。貧血の症状には黄疸、血尿、浮腫などが含まれます。5.Q熱
マダニが媒介するコクシエラという細菌によって引き起こされる病気です。 ワンちゃんは感染しても無症状であることが多いのですが、発熱をすることもあります。非常に感染力が強い人獣共通感染症のひとつであり、ワンちゃんから人間に移ることもあります。7. もし愛犬がマダニに刺されたら・・・
万が一愛犬がマダニに刺されてしまった場合、刺されているか被毛に付着しているか判断が付かない場合でも、見つけ次第すぐに動物病院に直行しましょう。焦ってついつい手で払ったり取り除こうとしてしまいがちですが、決して無理やり取ろうとしてはいけません。 マダニは数日から、長いもので10日間ほど吸血すると言われています。無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残ってしまう可能性があります。
どうやらまだもぞもぞ移動している、大きさからもワンちゃんの様子からもまだ噛みついてはいないようだ、とみられるときは、ガムテープなどの粘着テープでマダニを捕獲しましょう。 ただし1匹みつけたら他にもいるであろうと考えるのが自然です。念のため動物病院に向かい、マダニに咬まれた可能性があることを獣医に伝えましょう。
8. マダニに刺されないためには
マダニに噛まれないためには、まずは予防が大切です。マダニ予防薬には、スポットタイプや経口薬など様々な駆除薬があります。それらを動物病院で処方してもらい、定期的に投与するようにしましょう。
また、この時期は特に草むらや土手などのお散歩も避けたほうが良いかもしれません。そうはいっても…という方もいるでしょうが、もし草むらや森林地帯でお散歩させる場合は、お洋服を着せることも予防策のひとつです。 加えて定期的なブラッシングやシャンプーを行い清潔を保つことが重要です。
9. 大切な愛犬を恐ろしい害虫から守りましょう
いかがでしたか。マダニは全国どこにでも生息しています。そして山林や草地で散歩をする際、マダニに注意し、予防対策を取ることが重要です。大切なペットを守るために、飼い主としてはできうる限りの予防策を行いましょう。
全国どこにいるか分からない見えない敵であるマダニ。リスクをゼロにすることはできませんが、私たち人間の意識と努力で、刺されてしまうリスクはある程度まで低くできるはずです。
ようやく涼しくなってきて、外を歩いていると風も気持ちが良く、金木犀の香りが嬉しい季節になってきましたね。 愛犬もきっとこの時期のお散歩がとっても嬉しいはず。私たち飼い主が、きちんと学ぶことで、この楽しい時間、大切なペットの健康を守っていきましょう。