【ワンちゃんの高血圧リスクを知ろう】愛犬の血圧を計ったことはありますか?
目次
- はじめに
- 血圧の基本
- そもそもワンちゃんの平均血圧って?
- ワンちゃんの血圧って、どうやって計るの?
- ワンちゃんの高血圧の原因
- 高血圧の症状
- 血圧が高いことで、引き起こしかねない病気
- 高血圧の予防方法
- まとめ
1. はじめに
今回はワンちゃんの血圧についてお伝えします。突然ですが、現在通われている動物病院でワンちゃんの血圧を計ったことはありますか?
実は私は、愛犬が8歳になるまで一度も計ったことがありませんでした。健康診断のプランでも血圧測定が付いていることは少ないので、一度も計ったことがない、という方も多いのではないでしょうか。
昨年はじめて計ってみてなんとびっくり。うちの犬は重度の高血圧で、とんでもなく心臓に負担がかかっている、すぐにでも降圧剤(血圧を下げるお薬)を始めたほうが良いということになりまして、もう1年近くお薬を続けています。
みなさまにも私のように「知識がなかった」「知らなかった」ことにより、愛犬を危険にさらすことがないようにしてほしいという思いから、今回お伝えさせていただきます。どうかお暇なときにでもご一読いただけたらと思います。
2. 血圧の基本
血圧とは、血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧力のことです。よく、血圧の"上"とか"下"という言い方をしますが、上は心臓が収縮して血液を送り出したときの「収縮期血圧(最高血圧)」、下は心臓が拡張したときの「拡張期血圧(最低血圧)」のことです。私たち人間にとっては、病院や健康診断でもおなじみの血圧。加齢に伴い「高血圧」を指摘されることも増え、血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方は80代以上になると約70%とも言われています。
実はこの「高血圧」ですが、ワンちゃんも同じ状態になることが知られています。
3. そもそもワンちゃんの平均血圧って?
ワンちゃんの血圧の平均値は、ほとんど人間と同じ範囲です。最高血圧が100~160、最低血圧が60~100が理想的とされています。この範囲を上回る場合が「高血圧」とされています。ちなみに我が家の愛犬の場合は、上が300、下が160ということで、「いつ心不全を起こしてもおかしくない状態」と診断されました。
4. ワンちゃんの血圧って、どうやって計るの?
ワンちゃんの血圧は、動物専用の血圧計で計ることができます。前腕や後ろ足のほか、尻尾の付け根でも測定することができます。尻尾の場合はブンブン振り回してズレていってしまうことから、我が家の場合は私が抱っこをした状態で、後ろ足で測ることが多いです。
人間のように我慢することはできませんから、途中で動きたがったり、待合室にいる他のワンちゃんの鳴き声に反応したりなど、様々な影響を受けて血圧は大きく上下します。計測エラーも発生するため、10回~15回ほど連続で測定し、その平均値を「その日の血圧」として判断しています。
5. ワンちゃんの高血圧の原因
人間とおなじで、ワンちゃんの「高血圧」の原因は、加齢や肥満、運動不足やストレス、塩分が多い食生活、といわれています。まずひとつめの加齢についてですが、年齢があがるにつれて人間同様にワンちゃんも血管の弾力性が失われ、もろくなります。それゆえ、血液が流れづらくなり、心臓が収縮して血液を送り出す際に負担が増し、「収縮期血圧」が高くなります。
また、ジャーキーなどのおやつをはじめとする、塩分が高い・味が濃い食べ物を日常的にあげることも高血圧の原因になることが分かっています。 塩分をとりすぎて血液中のナトリウム濃度が高くなった場合、濃度を下げるために水分を多く欲します。その結果、体内の血液量が増えると心臓から送り出される血液量も増え、高血圧を引き起こすのです。
そのほか、肥満も当然よくありません。人間でも肥満の方は適正体重の方と比べて、高血圧になる確率は約3倍だといわれています。ワンちゃんについても同じ傾向が見られると考えてよさそうです。
同様に、疾患やお薬の副作用で血圧が上がるケースもあります。現在発覚していない何か他の病気があり、それが原因で血圧が高くなっている、という状況です。これについては大元の疾患を治療することで、血圧の低下を図ります。
しかしながら、原因がはっきりしない高血圧も多くあります。遺伝性だとか体質だとか言われるものですが、つまり生まれつき血管が細いことや、弾力が弱いことで高血圧の症状が出るのです。
我が家の愛犬の場合は、これほどまで高血圧にもかかわらず、心臓病や腎臓病などその他の疾患が見つからないこと、そして、まったく問題なく日常生活を送っている(今まで送れてきたこと)から、おそらく幼いころからずっと血圧は高かったはずであり、「先天性高血圧」だとの診断を受けました。
6. 高血圧の症状
高血圧の多くは、あまり目に見えた症状がないことが特徴ですが、しいてあげるならば以下のような症状があると言われています。- 疲れやすい(あまり歩かなくなった)
- 息切れ(パンティングが多い)
- ふらつき
- 寝ている時間が増えた
- 失神することがある
7. 血圧が高いことで、引き起こしかねない病気
このように目立った症状がないことからつい放置されがちですが、血圧が高いことで気がつかないうちに脳血管、心臓病、腎臓病、目などに障害を起こすことが知られています。脳の場合は脳出血や脳梗塞、心臓の場合は僧帽弁閉鎖不全症を代表する心不全全般です。そのほか、慢性腎臓病やクッシング症候群(副腎皮脂機能亢進症)のほか、網膜剥離から失明にいたる可能性もあります。
8. 高血圧の予防方法
高血圧を予防するためにまず大切なことは、なんといっても体重のコントロールです。先述したように、人間同様にワンちゃんの場合も、肥満が高血圧に繋がることが分かっています。痩せすぎは良くありませんが、適正体重を維持するように心がけましょう。
加えて塩分を控えた食生活も重要です。人間の食事をお裾分けしないことは言うまでもなく、普段のフードやおやつもできるだけ塩分が少ないものを選んだほうがよいでしょう。 食いつきが良いからと言って毎日カリカリに加えているトッピングも、もしかしたら塩分が多いかもしれません。一度パッケージの裏面を確認してみてください。
そのほか、適度な運動も大切です。できるだけ定期的にお散歩に行ってあげましょう。
9. おわりに
いかがでしたか。今回はワンちゃんの高血圧についてお伝えしました。ちなみに我が家の愛犬はお薬を服用し、現在は上が160、下が80ほどにまで下がりました。それでも平均よりは高く、心疾患が多いチワワということもあり今後心臓病を発症するリスクが高いことは変わりません。
幸いなことにまだ心雑音他なんら疾患がない状態ですが、毎日の服薬に加えて3カ月に一度のエコー検査、そして長時間の散歩やドッグランなどでの激しい運動の禁止、何よりできるだけ興奮させないようになど、日常生活においても制約が増えました。
我が家の愛犬よりもまだ若いワンちゃんと暮らす飼い主さまには、どうか私のように無知がゆえに大切な愛犬に負担をかけるようなことをしてほしくないという思いから、今回お伝えさせていただきました。
高血圧は別名「サイレントキラー」と呼ばれています。それほどまでに、進行するまで気付きにくく、分かった時には重症、ということも多いのです。そうしたことを避けるために、定期的な健康診断による早期発見に努めましょう。 ペットと暮らすうえでは、常に学び続ける姿勢、そして少しでも疑問に思ったらなんでも調べてみる、気になることはなんでも病院で質問してみる、という行動力が欠かせないのだと思います。
ぜひ次回病院に行った際、ワンちゃんの血圧測定をお願いしてみてくださいね。