高齢者がペットを飼うということ

ペットと暮らす 2023.05.12

目次

  1. はじめに
  2. お迎え前に考えなければならないこと
  3. 高齢になるにつれ大変になるペットのお世話
  4. 突然の出来事への備えも行っておきましょう
  5. ペットは大切な家族の一員です

はじめに

ますます加速する日本の高齢化社会。ペットをお迎えする高齢者も増えています。

ペットとの暮らしは私たちの生活に彩りを与え、大変豊かなものにしてくれます。全幅の愛情と信頼をもって、私たち人間を頼ってくれるペットは、生活に安らぎや幸福を与えてくれるものでしょう。

特に年齢を重ねるごとに、身体の自由が利かなくなったり、体調が悪い日も増えてくる高齢者にとっては、ペットの存在は日々の生きがいや健康維持に直結している非常に大きなものです。生活にハリが生まれ、またペットの食事やトイレなどのお世話をすることで、生活リズムが生まれ、規則正しく生活することができるようになります。加えて、ワンちゃんの場合はお散歩が必要ですから、日常的な運動習慣が持てるということは私たち人間自身の健康にとっても非常に大切なものです。

お迎え前に考えなければならないこと

とはいえ、ご自身が高齢者と呼ばれる世代に差し掛かってから、新たにペットをお迎えするには、きちんと考えなければならないことがあります。

いまや医療の発達とともに犬や猫の寿命も延びており、ともに平均して15歳に迫っています。ペットをお迎えするということは、最後まで責任を持ちお世話をすることが義務付けられています。(終生飼養の義務)

自身の年齢と健康状態を鑑みて、きちんとこの義務を果たすことができるのか、そしてこの義務を全うできるように周りのサポートを受けることができるのか、という点は必ずお迎えする前に確認するようにしましょう。

自身が高齢になるにつれて、ペットのお世話は確実に大変になります

ワンちゃんにしてもネコちゃんにしても、当然毎日のお世話が必要です。

毎日新鮮なお水を用意し、ご飯をあげなければなりません。当然毎日うんちやおしっこをしますから、トイレの掃除が必要です。

爪も伸びますし、換毛期には大量の毛が抜けるかもしれません。毎日掃除をしなければ、部屋が汚れ、臭いもしてくるでしょう。抜け落ちた被毛が溜まると、ノミやダニなどの害虫も発生することもあります。このように、ペットにとってもご自身にとっても安全な暮らしを維持するには、毎日のお世話が必ず必要なのです。

また、ワンちゃんは基本的には毎日お散歩に連れて行ってあげたほうがよいとされています。

健康維持はもちろんのこと、ワンちゃんは体を動かすことが好きな子が多いので、運動不足によりストレスを感じやすいのです。今は体調に自信があるにしても、この先もし足腰が弱って毎日のお散歩が大変になったとき、代わりに行ってもらえる家族や知人はいますか?

毎日お散歩に行くということは、若い人でもなかなか根気と体力が必要なことです。もしワンちゃんをお迎えしようと考えているならば、体力的にお世話ができる犬なのか、慎重に考えましょう。例えば、もともと狩猟犬であったジャックラッセルテリアやゴールデンレトリバーなどの大型犬は、運動量が多いため、高齢者のみの世帯で飼育するのは非常に大変です。散歩するだけでも、相当な体力が必要になります。

そのほか、経済面でいえば、普段の食事やワクチン代、トリミングなどにかかる費用はもちろんのこと、予期せぬケガや病気になると思わぬ高額な出費となります。ワンちゃんを飼うためには、現在のご自身の生活に経済的な余裕がある必要があります。

突然の出来事への備えも行っておきましょう

加えて、ご自身が入院するなどのケースもしっかりと想定しておくことが重要です。

長期間不在にしなければならない際に、預け先はありますか?ペットホテルならば毎日の散歩を約束してくれたり、広々としたルームで過ごせたりなど、比較的環境は良い場合もありますが、長期となると高額が必要となります。

そのほか、かかりつけの動物病院で預かってもらう、という方法もありますが、動物病院に預ける際は、基本的には入院中のペットと同じようなケージにての管理になります。つきっきりで見てもらうということはできないことに加え、お散歩の実施も難しいかもしれません。

このようなことを考えると、できれば身内や家族、近所の方に頼めるよう、事前に対処法を検討しておくと良いでしょう。

ペットは大切な家族の一員です

何十年も前からずっとペットを飼っていて、ペットがそばにいるのが当たり前だった方も多く、そんな方々からすると、いくつになってもペットとともに暮らしたい、と考えるのは当然でしょう。

ただし、高齢者がペットを飼うとなると、周りの協力が不可欠です。家族や友人、ご近所の方など、ご自身の周囲の方にきちんとお伝えし、相談したうえで、迎え入れるかどうかを決めてください。

誤解しないで頂きたいのは、決して高齢者の方にはペットをお迎えしてほしくない、ということではありません。 「最後まで世話をする自信がないから」とペットを迎え入れることを躊躇してほしいわけではないのです。 ペットを飼うと、それまで感じたことがないような愛情に満たされたり、癒しをもらうことができます。 生活が楽しくなったり、気持ちが安らいだり、ペットがいる暮らしは本当に喜びに満ちており、素晴らしいものだと思います。

だからこそ、安易な気持ちでお迎えしてほしくはないのです。 飼い主になる方には「お迎えしたペットの命を最後まで責任をもって預かる義務が発生する」ということを忘れないでください。

高齢になるということは、必ず健康面の不安が増えてくるということです。今は問題がなくとも、いつ予期せぬ健康上の問題が出てくるかわかりません。そしてもしもの時に備えてしっかり協力してくれる人を見つけたうえで、ペットをお迎えするようにしてくださいね。家族がいるならば、必ず事前に家族の賛成を得ましょう。


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