【防災のすすめ】災害時に車中避難するコツ

ペットと暮らす 2023.05.16

目次

  1. はじめに
  2. 何より、ペットを車に慣れさせておくことが重要
  3. 安全に配慮した工夫やアイテムを用意しよう
  4. 車中避難用グッズ
  5. 車中避難の注意点

はじめに

自宅や親戚・知人宅において災害の危険性があり、指定緊急避難場所に避難が出来ない場合に、車に緊急避難し、車内で安全を確保する可能性もあると思います。こちらではペットとともに車中避難するためのコツや注意点についてお伝えします。

車中避難とはその名の通り避難生活に車を活用することです。

実際にペットを連れていると、近くにペット可の避難所が無かったり、ペットがストレスを感じてしまい避難所で一緒に過ごすことが困難だったりなどの理由から、自家用車内で避難しようという選択にいたる場合もあると思います。

何より、ペットを車に慣れさせておくことが重要

災害時にペットを連れて車中泊する可能性があるなら、事前に車内やドライブに慣らしておきましょう。もともと車に苦手意識があったり、車酔いをしてしまう子だと、災害の混乱に乗じて嫌いな車に乗せられたことでさらにストレスを感じてしまいます。体調を崩しかねません。そのため、平常時にできるだけ車に慣れさせましょう。

通院時の利用ばかりではなく、休日に家族でドライブを行ったりなど、楽しい場所にお出かけすることで、ペットが車に乗ると楽しいことがある、と学習させることが必要です。最初は5分から10分程度の短時間からトレーニングを開始しましょう。また、車に乗せた時点でパニックを起こしてしまう子の場合などは、おやつを用意しておき、車に乗ったらまずおやつを与える、これを繰り返すようにしてください。

安全に配慮した工夫やアイテムを用意しよう

災害時以外に実際に車で長時間をすごしたり、あるいは車中泊をしてみることで、いざという時の練習をしておくと、非常時に慌てふためくこともなくなります。

ただし、災害時の避難場所として車を選択した場合、気楽でアウトドア要素あふれる楽しい『車中泊』ではなく、とてもハードな『車中生活』になります。 人間だけでも非常時の車中生活は慣れないことも多く、気が張ることやストレスも多くかかります。そのうえ、被災状況を理解していないペットの存在は、癒しであるとともに、困難なことや思いがけぬ事故の可能性もあることを覚えておいてください。

いずれにせよ、事前に十分な準備を行い、できるだけ起こりうるリスクを回避することが大切です。

車中避難用グッズ

ケージ/クレート

車の中だから自由にさせればいいや、とお考えの方も多いかと思いますが、基本的に睡眠時はケージ/クレートで、という風にルールづけておいた方が安心です。

普段の楽しいドライブと異なり、車中避難時は基本的には家族全員が24時間ずっと車の中で過ごすこととなります。

いつもお昼はお留守番なのに、ずーっと大好きな家族と一緒に過ごせて嬉しい!最初こそはそう感じるかもしれません。しかし、1日2日…と時間が経過するにつれて、ペットたちもいつも周りに人がいる状況に、落ち着かない気持ちを抱くこともあるでしょう。

車中避難の場合は、基本的にケージやクレートをワンちゃん、ネコちゃんの居住空間とし、いつでも入れるような環境にしておきましょう。

首輪/ハーネス/リード

避難生活での迷子や逃げ出し防止のために、ハーネスやリードも必須です。

特に車中避難の場合は、換気のためにドアを開けたタイミングなどに、勢い余って飛び出してしまう可能性が高いので注意が必要です。 ネコちゃんは普段ハーネスなんてしたことがない、という子も多いと思いますが、いざという時のために、時折ハーネスを付けて過ごさせるなど避難訓練を行いましょう。

簡易トイレと排泄用処理道具

ワンちゃんの場合はうんち袋やウエットティッシュなど、 ネコちゃんの場合は折り畳み式のポータブルトイレと猫砂を用意しましょう。猫砂は2.0kgなどの小分けパックの物を数点用意しておいてください。

車中避難ということもあり、トイレをさせやすそうな場所に移動して、毎回外出させればいいや、なんてお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、被災時にはガソリンの維持も命綱です。供給が滞ってしまう可能性がありますので、基本的には同じ個所にとどまることが多いです。 そのため、基本的には車内にポータブルトイレを設置するとともに、もし外で排せつをしてもきちんと片づけられるよう、処理する道具を用意しましょう。

モバイルバッテリー(夏ならば扇風機、冬ならばヒーター)

被災時の季節によりますが、車中避難は暑さ寒さとの戦いとなります。

特に、5月-9月の夏~秋にかけては、皆さんご存じのように以前では考えられなかったような暑さに見舞われています。電気無しで、猛暑を乗り切るには、日陰で風通しの良い場所を探し、極力運動せずに過ごすことが第一です。

しかし、理想的には、冷風機や扇風機だけでも動かせるようにしておく方がよいでしょう。そのためには、ポータブルバッテリー/発電機や蓄電システム/ソーラーシステムを用意しましょう。

簡便なのは、ポータブルバッテリーです。充電容量は機種によりまちまちですが、扇風機であればフル充電で半日以上稼働させられるものが多くあります。価格帯も安いものならば10,000円程度からありますので、1台保有しておくことをお勧めします。

換気用のファン/サーキュレーター

車内の空気を循環させるための換気用のファンも持っておいた方が良いでしょう。

車中避難をする場合、何日も同じ空間で過ごすことで、人間の体臭や食べ物、ごみなどの臭い、そのほか、当然ペットのにおいが色濃く残ります。通常時ならばこまめにごみを処分できるかもしれませんが、被災時は当分の間ごみを車内に置いておかなければならないこともあります。これについては、トイレシートなども当然当てはまります。

臭いがキツイ、というだけならばまだ私たち人間は状況も把握していますし、我慢ができるでしょうが、ワンちゃんやネコちゃんは私たち人間の何百倍もの嗅覚を持っています。私たちが感じる以上にストレスを感じている可能性が高いです。

更に、梅雨場や夏などはこもった湿度や暑さは体調悪化につながります。車は密閉度が高い空間なので、きちんと換気をしないと車内に空気がこもりがちになり、ストレスも相まって体調を激しく崩しかねません。車中ではできるだけしっかりと換気をして、少しでも車中生活をストレス少なく過ごせるようにしてください。

ドア用ネット/車用網戸

換気をするには車の窓を開ける必要がありますが、夏場であれば虫が入ってきて不快な思いをしてしまうこともあります。そんなアクシデントを避けるためにも、ドア用ネットや車用網戸を持っておくことをおすすめします。

車用網戸は、車内から取り付けるものや、車のドアにかぶせるタイプのものがあります。また、車種専用の網戸やスライドドア用、ドアのサイズごとに分けられているものなど、種類はさまざまありますので、ご自宅の車の種類やサイズを確認の上、選ぶようにしましょう。

目隠しシェード

車外からの視線や日差しをカットするためには、目隠しシェードを用意しておいた方が良いでしょう。

車中避難生活では、体を休めるためにきちんと眠るという行為が非常に大切ではあるのですが、慣れない避難生活で、周りから見えてしまう無防備な状況はストレスが溜まります。また、警戒心が強いワンちゃんやネコちゃんの場合、外を人が歩いているだけで気になって吠えてしまう、興奮してしまうということもあるでしょう。ペットにとっても私たち人間にとっても最も無防備でプライベート性が高い睡眠時、できるだけ落ち着いて休むことができるよう、サンシェードやスモークなど、車の窓に目隠しをするためのグッズを用意しておきましょう。

車中避難の注意点

災害時にそれほど移動することは多くはないとは思うのですが、車酔いしやすい子の場合は気を付けてください。普段から酔い止めの薬を持っている場合ならばまだしも、こうした非常事態に薬を用意できていない場合も多いでしょう。できるだけ移動をせず安全な場所にとどまることが正解です。

また、夏場に限らず車中は温度が上昇します。熱中症には最大限注意しましょう。夏場の場合はたった5分でも、熱中症になり命を落とす危険性があります。給水やトイレなどで仕方なくお留守番させることもあると思いますが、その際は車を日陰に置く、ファンを回しておくなど気を配ってください。

また、慣れない避難生活にストレスを感じるのは、ペットも私たち人間も同じ。難しい環境下でもできるだけストレスを感じさせない環境づくりが大切です。お水はいつでも飲めるようにすることや、トイレの設置場所はできるだけフラットな状況にすること、誤飲や誤食をしないようにゴミや異物を管理することなど、ペットの命を守るために飼い主さまがやらなければならないことはたくさんあります。

このように車中避難も災害時の避難方法のひとつではあるのですが、事前準備や必要なグッズがそろっていなければ、却ってストレスを感じ体調を崩すことにもつながりかねません。 避難所で過ごすことや、遠方の親戚や関連団体などに一時的にペットを預けることも選択肢の一つです。地域や避難所の規約やルールも確認し、家族やペットを含め、周囲の人たちにとっても安全で快適な避難生活が送れるよう上手に活用してください。


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