【防災のすすめ】マイタイムラインを作ろう

ペットと暮らす 2023.05.16

目次

  1. はじめに
  2. 防災行動は個人個人で違う
  3. マイタイムラインとは?
  4. 洪水リスクを知る
  5. 洪水時に得られる情報を知る
  6. マイタイムラインを作成する
  7. 水害は、備えることができる

はじめに

8月~10月は台風の上陸が最も多い時期。秋雨前線も重なることで、おおきな被害を発生させることもあります。地球温暖化で海水温が上昇している昨今、1時間に100ミリを超えるような非常に強い雨が降るようになっています。

ペットは家族。もし避難する時は必ず同行避難を行うようにしましょう。 しかし、ペットを連れていることにより、地域によっては、避難所等に入れないという事態も考えられます。避難所は、限られたスペースを避難者で共有することになり、吠え・臭い・アレルギー等の問題で、ペットが一緒にいられないことも少なくありません。

だからこそ、ペットの飼い主は、一般の人以上に「いつ逃げるか・どこに逃げるか」を考えておかなければなりません。

防災行動は個人個人で違う

防災行動は、個人個人の置かれた環境によって大きく異なります。

家が河川の近くにあり、河川の氾濫による浸水の可能性のある地域であれば、河川の水位の上昇の際には、安全な場所への避難が必要になります。逆に、浸水想定のない高台に自宅があれば、水害時に避難の必要はなく、むしろ親類や友人の避難を受け入れる側になるかもしれません。

また、学校などの指定避難所にペットを連れて避難できるかどうかは地域によって異なります。一緒に避難できても、クレートに入れて、人のスペースとは別の倉庫に置いておかなければならないということはよくあります。ペットたちがそのような状況に慣れていない場合、避難所への避難は現実的ではありません。

新型コロナウイルスの蔓延より、避難所に多くの人が集まる事はなるべく避けるべきであると言われるようになっています。避難者が一カ所に集中するのではなく、分散して避難することを『分散避難』と言います。

ペットは、吠え・臭い・アレルギーという問題に加えて、ペット自身のストレスという問題も考えなければなりません。災害時、飼い主も不安の中、知らない場所、知らない人、知らない動物の気配に囲まれ、キャリー/クレート内で過ごすことは、トレーニングを積んだ子でも負担がかかります。場合によっては、食欲不振、嘔吐、下痢、血便など、ペットの体調不良につながります。

ペットの飼い主こそ積極的に『分散避難』を考えるべきです。親類・知人の家に身を寄せる、安全な場所で車中泊をするなど、避難所にいく以外の選択肢をよく検討しましょう。 豪雨災害の時に、愛犬、愛猫を連れてどこに避難するか、ペットと飼い主さまがともに安全を確保し、安心して一緒にいられる場所はどこか、考えるようにしましょう。

マイタイムラインとは?

さて、避難先が決まったら、今後は、いつ、どうやって避難するかを考えます。その検討を行うために作成するのがマイタイムラインです。

マイタイムラインとは、大雨による河川の増水や、台風の接近に備えて、市民一人ひとりが自分自身の防災行動を計画し、時系列のタイムラインにまとめたものを指します。 防災行動はひとりひとり違うように、マイタイムラインもひとりひとりが自分の状況に合わせて作成する必要があります。

ペットを飼っていると、ペットの移動の準備も必要となり、それだけ時間がかかります。ペットを安全な場所に預ける場合、預けるための時間と自分たちが避難する時間両方を考慮に入れる必要があります。

マイタイムラインの作成の手順は、

  1. 自分たちの住んでいる地区の洪水リスクを知る
  2. 洪水時に得られる情報を知る
  3. マイタイムラインを作成する
の順番で作成します。

洪水リスクを知る

洪水リスクを知るためには『ハザードマップ』を用意しましょう。 ハザードマップには、河川の氾濫時に、どこがどの程度浸水するかの予測が記載されています。自宅や勤務先にどの程度の浸水想定があるか確認するようにしましょう。

どの河川が氾濫したときに自宅付近が浸水する可能性があるのか、自宅から見てどの方面が浸水するのか、避難先との間に通れなくなる箇所はないかなどを確認できます。 自宅に浸水想定が全くなく、土砂災害などもなく、災害のリスクがほぼない場合は、自宅に留まるべきでしょう。

洪水時に得られる情報を知る

洪水が発生する際には雨が降っています。台風や前線の活動による大雨は、気象情報によってある程度事前に予測することができます。こうした気象情報は確認している人が多いと思います。最近では、スマホのアラート機能で、豪雨予報をお知らせしてくれるものも有ります。

意外とチェックしていないのが河川の水位です。洪水の多くは、河川の氾濫時に発生します。河川の水位は、現在その場で降っている雨の量ではなく、上流でどれだけ雨が降っているか、長い雨で遊水地に雨がたまっているかどうか等によって、上下します。 自宅付近で雨が弱いから大丈夫だと思っていたら、氾濫寸前だったということも起こります。

そこでチェックすべきが近隣の河川の水位です。「○○川 水位」で検索すると、行政の提供している河川の水位情報を確認することができます。 各河川では、以下の水位が定められています。

  • 氾濫危険水位:河川が氾濫する恐れのある水位
  • 避難判断水位:避難情報発表の目安となる水位
  • 氾濫注意水位:河川の氾濫の発生を注意する水位
  • 水防団待機水位:水防団が待機する目安となる水位
各河川において、避難判断水位や氾濫危険水位を超過し、引き続き氾濫の危険がある状態になると、高齢者等避難情報や避難指示が、自治体から対象の区域に発令されます。 ペットを飼っている方の場合は、高齢者等避難情報が出された段階で、避難行動を開始するイメージを持っておいた方が良いでしょう。

大雨の際には、近隣の河川の水位情報を定期的に確認し、避難に備えるようにしていきましょう。

マイタイムラインを作成する

自宅周辺の洪水リスク、洪水時にチェックすべき情報が分かったところで、マイタイムラインの作成を行っていきます。

マイタイムラインでは

  • どの段階で洪水情報の収集を開始するのか?
  • どの段階で避難準備をするのか?
  • どの段階で避難を行うのか?
  • どのような方法で避難するのか?
等の時系列に沿った行動計画を作成していきます。 ご家族や職場の皆さんと一緒に計画を作るとより良いでしょう。

一番重要なのは、どの段階で避難を行うのか?を意見交換しておくことです。 洪水時には逃げ遅れることで、人もペットも命に関わる被害につながります。 高齢者等避難情報が出た段階で、必ず避難行動を開始する、避難する場合はどのような方法で避難するかを、あらかじめ話し合っておくことが重要です。

水害は、備えることができる

洪水をはじめとした水害は、事前に災害の発生を予測することができることが特徴です。

災害時に、人もペットも命を守るためには、事前に情報を集め、適切なタイミングで、安全な場所に避難することが何より重要です。 避難の選択肢が少なくなりがちな、ペットの飼い主だからこそ、飼い主以外の方以上に備えを進めていくようにしましょう。


子犬・子猫一覧