徹底解説!ワンちゃんの歯周病

飼い方・しつけ 2023.06.14

今回はワンちゃんの歯周病についてお伝えします。

目次

  1. 歯周病とは
  2. ワンちゃんの歯周病の症状
  3. ワンちゃんの歯周病の原因
  4. あなたの愛犬は大丈夫?歯周病チェックリスト
  5. 歯周病になってしまったらどうする?
  6. その他の深刻な病気を引き起こしかねない歯周病
  7. さいごに

1. 歯周病とは

歯周病とは、歯を支える歯茎や骨が破壊されることで、歯がぐらぐらになってしまったり、歯肉が炎症を起こして出血する病気です。 ワンちゃんの口内はアルカリ性のため、虫歯菌は増殖しづらいのですが、一方で人間同様、歯周病にかかりやすい動物です。 歯周病は、歯と歯茎の隙間に歯垢が付着することが原因で発症します。 日常的に歯磨きをする機会が少なく、歯の汚れが付着したままになりやすいため、歯周病になることが多いです。 また、歯垢が歯石に変わるまでの速さも関係しています。 人間の場合、歯垢が歯石に変わるまで30日ほどかかりますが、犬の場合は3日ほどで変化するそう。

2. ワンちゃんの歯周病の症状

ワンちゃんが歯周病にかかると、人間同様に歯ぐきが赤く腫れたり、腫れた部分から出血が見られたり、口臭がきつくなったりという症状が見られ、症状が進行するにつれてお口を開けづらくなることから食欲が無くなったり、最終的には歯がポロポロと抜け落ちてしまう恐れがあります。

単に歯が数本抜けるだけならば、ある程度高齢になれば仕方がない、なんて思った方もいるかもしれませんが、実は歯周病は単なる生活習慣病ではないのです。近年の研究によると、歯周病は全身の健康と深く関わっており、歯周病菌が血管に入り込むと、腎臓病や心臓病などの大きな病気の原因に繋がるということが分かってきました。歯のケアを怠ってしまうと、大切な愛犬の寿命にも影響しかねません。ワンちゃんの平均寿命が延びたことにより、歯を使う期間も延びてきました。歯の老化にも目を向けましょう。

3. ワンちゃんの歯周病の原因

歯周病とは、口のなかに溜まった細菌によって引き起こされる炎症です。食べた物の一部が歯のすき間に残り、歯垢となります。歯磨きによって歯垢をきれいに取り除くことができれば問題はないのですが、歯磨きが不充分だと取りきれなかった歯垢がやがて歯石となり、歯の表面や歯茎の細かい溝に沈着してしまいます。この歯垢や歯石こそが、歯周病の原因となる歯周病菌の温床です。

そして、この歯周病菌が産生する有害物質によって、歯周病が引き起こされます。歯周病は突然発症するものではなく、段階を踏んでゆっくり進行する病気です。また、それと同時に毎日のデンタルケアできちんと汚れや細菌を除去することで、確実に予防することができます。

4.あなたの愛犬は大丈夫?歯周病チェックリスト

  • 歯肉の色が赤い、もしくはどす黒い。
  • 歯と歯のあいだの歯肉が丸く、腫れぼったい。
  • 歯肉が退縮して、歯と歯のあいだにすき間ができてきた。
  • 歯が長く伸びてきた。
  • 歯の表面を舌でさわるとザラザラする。
  • 歯みがき時などに歯肉から出血しやすい。
上記のような症状がみられる場合、歯周病の可能性があります。

5. 歯周病になってしまったらどうする?

歯周病になってしまうと完治させることは非常に難しいのですが、毎日の歯磨きで症状の進行を遅らせ、悪化しないようにコントロールしながら、日常生活に支障がないようにキープすることは可能です。

歯周病の治療で最も大切なことは、正しい歯ブラシを毎日実施することです。 歯肉の中まで入っている歯石を完全に取り除き、さらに根の表面を滑らかにして炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去し、歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておく事が何より大切なことです。

もし、ご自宅で難しい場合は、歯科を取り扱っている動物病院で歯石除去を行う方法もあります。 ただ、ほとんどの場合麻酔を行ったうえで歯石除去を行われます。麻酔をかけるということは、必ずリスクが発生します。 避妊去勢手術による死亡事故は、そのほとんどが麻酔による事故といわれています。麻酔に対するアレルギー反応によって副作用が起きる可能性は否定できません。手術中に容体が悪化することもあります。また、肝機能障害や腎機能障害、循環障害などなんらかの合併症が発生する可能性もあります。これを避けるために、術前検査や手術前の診断をしてもらい、リスクに関して獣医さんと話し合うようにしてください。

6. その他の病気を引き起こしかねない歯周病

麻酔のリスクを負うくらいならば、歯周病のままでもいいや…なんて思う方もいるかもしれませんが、すべての歯が無くなってしまっては、毎日の食事にも支障が出ます。元々ほとんど咬まずに飲み込んでいるから…ウエットフードにすれば大丈夫じゃないかなんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうはいっても、本当に全ての歯がなくなってしまっては、おやつにしてもフードにしても、そのままの形で飲み込んでしまい、窒息のリスクもあります。

また、歯周病を持っているワンちゃんは、シニア犬になると誤飲性肺炎を発症する恐れが非常に高まります。 誤飲性肺炎とは、誤って気管に入った唾液中の細菌などが肺に感染して起こる病気です。人間の高齢者の死亡原因としても最たるものですが、ワンちゃんも同様に、年齢を重ねるにつれて発症率が高まります。

人間の場合でも、誤飲性肺炎を起こした患者から見つかる細菌は歯周病の原因菌が非常に多く、歯周病菌と誤飲性肺炎には強い関連性があることが分かっています。 誤嚥性肺炎は重篤になるケースが多く、命に関わることが多い非常に恐ろしい病気です。 呼吸状態が不安定になるためICUで集中治療となり、費用の面でも大きくのしかかります。

7. さいごに

歯周病自体は、毎日のケアで防ぐことができる病気です。 愛犬がずっと長生きで健康でいられるように、飼い主さまには毎日定期的に歯磨きを根気よく行いましょう。

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