ワンちゃんの肛門腺

飼い方・しつけ 2023.06.15

目次

  1. はじめに
  2. 肛門腺とは
  3. 肛門腺絞りの方法
  4. 肛門腺絞りの目安
  5. 肛門腺を放置するとこんな大変なことに・・・

1. はじめに

さて、今回はワンちゃんの肛門腺についてお伝えさせていただきます。

ワンちゃんを飼ったことがない方のなかには、「肛門腺」という言葉を知らない方もいらっしゃるかもしれません。 ワンちゃんの身体には肛門の周りに肛門腺という袋があります。この袋の中には独特のにおいを発する分泌液が入っています。

ワンちゃん同士があいさつで、お互いのお尻のニオイを嗅ぐ様子を見たことがありますか?それはこの肛門腺のニオイを嗅いでいるといわれています。お互いの挨拶や縄張りなどをアピールするために使います。

2. 肛門腺とは

肛門を時計に見立てて4時と8時の位置に肛門嚢(こうもんのう)という一対の袋があり、通称「肛門腺」と呼ばれています(本来肛門腺は組織の名称)。そこに貯留する分泌物の色は茶色い子が多いのですが、中には緑色だったりとその子によって様々です。

大型犬の場合はうんちをする際と一緒に分泌液も出ていることが多いのですが、小型犬の場合はうまく排出ができないことも多く、飼い主さまが定期的に肛門腺を絞ってあげる必要があります。

3. 肛門腺絞りの方法

溜まり具合によりますが、大量に飛び散る子もいますので、できればお風呂場で実施するのが良いでしょう。

肛門腺を絞る方法としては、まずはワンちゃんの尾をつかんでピンとまっすぐに持ち上げます。少し温めてあげたほうが絞りやすいので、ぬるめのシャワーで肛門周りを温めてあげて下さい。 その後、時計でいうと4時と8時の方向を、親指と人差し指で掴み、肛門に向かって下から押し上げるイメージです。そうすると、茶色や緑などの液体が肛門から出てきます。これが肛門腺分泌液です。

独特なにおいを発し、洋服につくとなかなか取れないため、お風呂場などのすぐに洗い流せる環境、かつ、万が一汚れても問題がない服装で実施することをお勧めします。

肛門腺を絞った後は、シャワーや濡れタオルなどでお尻を綺麗にしてあげて下さい。肛門腺を絞った違和感や独特の臭気から、その後しばらく気にしたそぶりをする子も多いので、お尻だけシャンプーをしてその後乾かしてあげてもよいでしょう。

肛門の周りではなく、肛門から1-2センチ離れたところにある場合もありますので、指で触ってみてやわらかい箇所や少しぷっくりしている箇所を探り当てましょう。

4.肛門腺絞りの目安

肛門腺の溜まりやすさというのは、本当にその子次第です。

溜まりやすく2週に一度絞る必要がある子もいれば、うんちと一緒に排出できているようで数か月や半年絞らなくても全く問題ないという子もいます。こればかりはその子の体質次第ですから、最初は3週間に一度程度を目安に様子を見てみましょう。 どちらかというと体が小さな子の方が分泌液が溜まりやすい傾向があるので、定期的に絞ってあげる必要があります。

肛門腺が溜まってくると、床にお尻をこすりつけたり、やたらお尻の方を気にして尾を追っかけたりという行動が見られます。また、分泌液の色がいつもと違ったり出血が見られる場合などは、細菌感染や炎症を起こしている可能性もありますので、その際は一度動物病院を受診しましょう。

肛門腺絞り自体は、動物病院やトリミングサロンで実施してくれる項目です。そのため、うまくいかない場合や、女性の方でネイルが長くうまく肛門腺を絞れない方などは、無理をせず動物病院で実施してもらいましょう。金額自体も地域差はありますがおよそ1,000円程度で済みます。

5.肛門腺を放置するとこんな大変なことに・・・

独特なにおいから、なかなかやりづらいという方もいるかもしれませんが、肛門腺を放置すると破裂が起こり、見た目には肛門の周りに穴が開いたような状態になります。

お尻の周りで皮膚が裂けて出血し、そこから細菌感染を起こして皮膚炎や化膿してしまうこともあるのです。 抗生物質などで対応できる場合はまだよいものの、症状が進行してしまった場合は緊急で外科手術を行い、肛門腺を摘出することとなります。

ワンちゃんに辛い思いをさせないように、定期的に肛門腺周りのお手入れをしてあげること、ご自身で難しい場合は無理をせずプロに任せることを心掛けましょう。


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