増えてます!ワンちゃんの外耳炎

知識・お役立ち 2023.06.20

目次

  1. 来院理由として最多の「外耳炎」
  2. 外耳炎とは
  3. なぜ外耳炎が多いのか?
  4. 外耳炎の治療方法
  5. さいごに

1. 来院理由として最多の「外耳炎」

さて、今回はワンちゃんの外耳炎についてお伝えさせていただきます。

外耳炎は非常に件数が多く、実際に動物病院への来院理由としては耳のトラブルが非常に多いといわれています。外耳炎になると、明らかに耳のあたりを痒がったり、耳から異臭がしたりという症状が現れます。しかし初めてワンちゃんをお迎えした方などは、この異臭が耳が原因であると気づかないケースも多いです。最近犬の臭いがきつくなった、梅雨だからかしら、などと、まさかお耳のトラブルが原因とは気づかずに、放置してしまっていることも多々あります。

お耳のトラブルは命に直結することが少ないことから、飼い主さまも他の病気に比べて軽く考えがちですが、慢性化すると完治まで時間が掛かるほか、良くなっても同じ症状を繰り返すことが多い厄介な病気です。

実際、動物病院を受診された際も、別の件で連れて行っただけなのに外耳炎と診断され、治すためには薬を飲まなきゃいけない、何回か通院しなくてはいけないとか、おそらく飼い主さまが想像していた以上に治療が必要で、びっくりされることも多いです。

2. 外耳炎とは

耳の穴から鼓膜までのあいだを耳道と呼びますが、この耳道の皮膚に炎症が起きる外耳炎という病気です。

かゆみが起こるため、耳や首のあたりを後ろ足でしきりに掻いたり、頭を振ったり、耳を物にこすりつけたりします。重症化すると痛みも伴うため、耳を触られるのを嫌がります。耳道が腫れて褐色の耳垢が増えたり、強いにおいを発することがあります。

3. なぜ外耳炎が多いのか

ワンちゃんの外耳はL字型をしています。そのために湿度が上がりやすく、細菌や真菌が繁殖しやすい環境となり、外耳炎を引き起こしてしまいます。

特に外耳炎になりやすい犬種として、コッカ―スパニエルやダックスフンドのような垂れ耳の犬や、トイプードルやシーズーのような、耳の中に毛が多く生えている犬種があげられます。

外耳炎の原因は様々で、細菌や真菌(カビ)などの繁殖、耳ダニなどの寄生虫、アトピーやアレルギーなどの過敏症によるものから、耳の中に異物が入ることでも発症するといわれています。また最近は耳掃除を頻繁にしすぎることにより、発症するケースも増えています。

4. 外耳炎の治療方法

一般的な治療としては、耳道洗浄液を使って外耳道を掃除することに加え、抗生物質や抗菌薬などの服薬を用いることもあります。

通常は1~2週間程度で完治しますが、症状が進行しており炎症が強い場合は、完治まで1か月以上かかる場合もあります。耳の洗浄に加え、原因となっているものに対して有効な薬を使用します。

多くは点耳薬ですが、場合によっては内服薬をもちいることもあります。週に1回の通院だとして1回あたり3,000円~6,000円程度(診察料、内服薬)かかります。外耳炎は、慢性化したり再発したりしやすい病気です。

普段から耳の清潔を保つことが予防につながります。人間用の綿棒で掃除をすると耳を傷つけてしまうことがあるので、洗浄液を浸したコットンで優しく汚れをぬぐい取るようにしましょう。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。軽く見られがちですが、耳のかゆみは非常につらい症状のひとつです。

耳の匂いやしぐさなど健康時の様子を把握しておくだけで、ちょっとした変化がすぐにわかると思います。耳の中は外からは見にくい場所なので、飼い主さまが痒みのサインに気付いてあげることが大切です。

普段から正常な状態を知っておくことで愛犬を守ってあげてください。


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