健康な状態の鼻って?

知識・お役立ち 2023.06.20

目次

  1. はじめに
  2. 健康な鼻の状態って?
  3. 一時的な「乾燥」は問題なし
  4. こんな病気が隠れている可能性も
  5. さいごに

1. はじめに

いうまでもなく、ワンちゃんは体の不調を言葉で伝えることができません。また、動物の本能で本当に調子が悪くなるまで具合の悪さを隠す傾向があります。

私たち飼い主は毎日ワンちゃんに接する中でいつもの健康な状態を知っておき、そのうえで「いつもと少し違うかも」「もしかしたら具合が悪いのかな」というサインをいち早くキャッチしなければなりません。 お散歩のあとや夜眠る前などに、一日一回、目、耳、鼻やその他全身についてスキンシップを兼ねて触ってチェックするようにしましょう。そのうえで、もしいつもと違う様子があったら、早いうちに動物病院を受診し、専門家の判断を仰ぐことをお勧めします。

今回は愛犬の特に鼻に着目して、健康な状態と少し気になる症状についてお伝えします。
ワンちゃんの鼻は健康のバロメーターと呼ばれるほど、その時の状態を表します。常日頃から「いつもの状態」を知っておくことで、異変をいち早くキャッチしましょう。

2. 健康な鼻の状態:少し濡れている

ワンちゃんの鼻は少し湿っている状態がベストであるといわれています。

そもそもこの濡れの正体はというと、鼻の穴に流れ出た涙や、鼻の奥から出ている分泌物が混ざり合った粘液です。暑いときに熱を外に逃がして、体温を下げるという働きも担っていますので、人間でいえば汗のようなモノだといわれています。

また、鼻を濡らすことで、ニオイの分子をたくさん吸着することができ、ニオイを確実に捉えることができるのです。ワンちゃんは私たち人間よりもはるかに嗅覚が優れていることはご存じだと思います。これは本来野生で暮らしていた肉食動物であるワンちゃんが生きるために得た能力です。 遠くからやってくる野生動物や敵の臭いをいち早くキャッチして身を守ったり、獲物である野生動物の在処を見つけたりと、ワンちゃんは古くからその優れた嗅覚を使って狩りをしていました。風の方向もこの鼻で感じ取っているといわれています。

そのため、鼻がしっとりと濡れており、優れた嗅覚が使える状態が、体調がよく健康な証拠であるといえます。

もちろん鼻が乾燥していることのみで、イコール健康状態が悪い、病気であると判断することはできませんが、このように、生きるために身に着けた能力である「嗅覚」が、鈍っている状態ということは決してベストな体調ではないことは確かです。

3. 一時的な乾燥は問題なし

では、どのくらいの乾燥だと注意したほうが良いのでしょうか

結論から申し上げますと、一時的に乾燥している場合は問題ありません。 寝起きや眠る前などは、乾燥することが多いので、少し乾燥しているからと言って心配は無用です。これについては、眠っている間は嗅覚を研ぎ澄ましたり、体温を下げたりする必要がないことから、分泌物が少なくなるためです。

また、冬場に部屋の空気が乾燥しているときなども、私たちの肌と同じように、少し乾いている傾向があります。 そのほかシニアになるにつれて、分泌物自体が少なくなるため、以前に比べて鼻が乾いていると感じるかもしれません。これについては、その他の症状がなければ老化現象の一つなので、そこまで気にする必要はありません。

以上のような病気以外の理由により鼻が乾いている場合は、意識的に水分補給をさせたり、保湿クリームを塗るなどで乾燥を和らげることが可能です。

4. こんな病気が隠れている可能性も

注意したいのは、発熱による脱水や皮膚疾患などによる乾燥の可能性です。

発熱による脱水

発熱などによる脱水症状により、鼻が乾いていることもあります。ワンちゃんの平熱は38℃台です。39℃台後半や40℃以上の場合は、熱中症や感染症のほか、中毒や肝炎などの可能性もありますので、なるべく早急に動物病院へ診てもらうようにしましょう。

少し熱っぽい、と感じたら、まずは体温を測るようにしてください。ワンちゃんの体温は肛門内で測定します。感染症のリスクもありますので、決して人間用を使わないようにしてください。ご家庭に一本、ワンちゃん用の体温計を用意しておくようにしましょう。

皮膚疾患による乾燥

鼻の表面も皮膚であることには変わりありません。そのため、さまざまな皮膚疾患により鼻が乾くことがあります。皮膚疾患が原因の場合は、かさぶたやかゆみなどの症状を伴ったり、体や鼻周りなど鼻以外の皮膚にも炎症や脱毛、かゆみなどの異常が見られたりすることが多いのです。

免疫系の病気

免疫反応の異常により、自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の場合も、鼻の乾燥が見られます。自己免疫疾患とは、体を守るための免疫になんらかの異常が起こり、自分の体を間違えて攻撃することから発症する病気の総称です。鼻の乾燥のほか、耳、足などに脱毛やかさぶたなどの皮膚の異常が生じます。

腫瘍

皮膚の悪性腫瘍が鼻で見られ、びらんや出血、変形が起こり、鼻が乾くようになった、鼻がカサカサするなどが初期症状として見られることがあります。

5. さいごに

いかがでしたでしょうか?ワンちゃんの鼻は健康状態をチェックできる部位の一つです。 鼻が乾いていないか、乾いている状態がずっと続いていないか、日々の生活の中でチェックすることで病気に早めに気付くことができます。

もちろん鼻の乾燥ですべての病気が分かるわけではありませんが、少しでも気になる様子があれば決して自己判断をせず動物病院で相談しましょう。


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