ワンちゃんの血液型

ペットと暮らす 2023.06.26

人の場合、今は自分の血液型を知らない人は少数派かもしれませんが、ワンちゃんの血液型はいかがでしょうか。

実はワンちゃんにも血液型はあるのです。今回はワンちゃんたちの血液型についてお伝えいたします!

目次

  1. ワンちゃんの血液型は13種類以上
  2. 血液型と性格は関係するの?
  3. 血液型を知っておくメリット
  4. ワンちゃんの輸血
  5. さいごに

1. ワンちゃんの血液型は13種類以上

ワンちゃんの血液型は13種類以上!

人の血液型はABO式という分類方法がとられていて、A型、B型、O型、AB型の4種類に分けられますが、ワンちゃんはこれとは異なるDEA式という方法で血液型を表現します。

DEAはDog Erythrocyte Antigenの略称でこれは直訳すると犬赤血球抗原という意味です。ワンちゃんも人間と同じく赤血球の表面にある抗原の種類によって血液型がきまります。ですが、ワンちゃんのDEAはDEA1.1、DEA1.2、DEA3~13と数が人間より多く、とても複雑なのです。このDEAをそれぞれもっているかどうか(+か-か)で血液型が決まります。

つまり私たち人間のように、「私はA型、あなたはB型」というのではなく、例えば「ワンちゃんはDEA1.1(+)、DEA1.2(-)、DEA3(+)…」というような表現になります。

2. 血液型と性格は関係するの?

人間ではよく、血液型で性格が分かれると耳にしませんか?血液型占いなどもよくありますよね。もしかしたら血液型を調べたら詳しいワンちゃんの性格がわかるかな、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、残念ながら犬には血液型による性格は関係がありません。ワンちゃんの性格は犬種や環境やしつけ、社会化期の過ごし方による影響が強いと考えられています。

それではワンちゃんの血液型を知ることに意味はないのでしょうか。
そんなことはありません。ワンちゃんの血液型を知っておくメリットももちろんあります。

3. 血液型を知っておくメリット

ワンちゃんの血液型を知っておくメリットとはなんでしょうか。
ご想像の通り、人間と同じく輸血が必要になったときです。

ではワンちゃんに輸血をするタイミングはいつでしょうか。
輸血というと、何か大きな事故に巻き込まれてしまい大出血をして血が足りなくなった時を想像してしまいますが、実はそれだけではありません。このほかにも自分の赤血球を異物と勘違いして壊してしまう「免疫介在性貧血」という病気や、血を作る機能がうまくいかない「骨髄性白血病」のような病気まで様々です。

いざというときの緊急治療のためにも、血液型を知っておくことは非常に重要です。
ワンちゃんの血液型についてはいまだ解明されていないことも多くありますが、日本では国際的に承認されている犬血液型判定キット(DEA1.1の有無を判定)が入手可能で、血液型判定を事前に行ってくれる動物病院もあります。

4. ワンちゃんの輸血

ワンちゃんに輸血を行うときは、事前に血液型をチェックしておく必要があります。人間と同じく、異なる血液型で輸血をしてしまうと、体の中で副反応が起こって、命の危険にさらされてしまうからです。大切なワンちゃんの命を守るためにも、もう少し輸血についてご紹介いたします。

重要なのはDEA1.1

13種類以上血液型があるのに同じ血液型のワンちゃんなんて見つかるの?と不安に思われた方もいるかもしれませんが、安心してください。ワンちゃん赤血球抗原であるDEA1.1、DEA1.2、DEA3-13がすべて一致する必要はありません。

輸血をする際に重要なのはDEA1.1が(+)か(-)かです。このDEA1.1が輸血時の急性溶血反応という重大な副反応に関係しています。急性溶血反応とは、ドナー犬(血液を与える犬)の血液が、レシピエント犬(血液をもらう犬)の赤血球を攻撃して血液を破壊することです。DEA1.1が不一致の血液を誤ってワンちゃんに輸血してしまうと、この急性溶血反応により、ショック状態や急性腎不全、DIC(播種性血管内凝固症候群)など、命にかかわる状況になりかねません。

このため輸血前には、交差適合試験(クロスマッチ)を行い、その血液を本当にそのワンちゃんに輸血して大丈夫か、安全性を確認したうえで処置を行います。

現実問題、輸血はできるのか

残念ながら日本にはオフィシャルな動物の血液バンクはありません。したがって血液の入手方法は病院によって様々です。

動物病院では供血犬や供血猫を飼っているところが多く、輸血が必要になった場合にはこの子たちに協力してもらって血液を入手することが多いです。しかし適合しない場合や供血動物がいない場合、足りなくなってしまった場合には、ほかの病院や他の飼い主さまに協力を依頼します。

また最近では、輸血に協力してくれるドナー登録を病院に来る飼い主さまにお願いしたり、ホームページやTwitterなどでドナーを広く募集することも見かけるようになりました。

しかし、現実的にはその制度の導入もなかなか難しく、お友達で血液型の合うワンちゃんをご自身で探していただき、お願いしているというのが現状です。

5. さいごに

いかがでしたか。今回はワンちゃんの血液型についてお伝えいたしました。

ワンちゃんの血液型は人よりも種類が多く、非常に複雑ですよね。 しかし、考えたくはないですが万が一の事態に備えて、ワンちゃんの血液型について理解を深めておくことはとても大切です。

この機会にぜひワンちゃんの血液について覚えていただき、ワンちゃんの血液型を調べてみてはいかがでしょうか。


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