ワンちゃんのストレスサイン
私たち人間と同様、ワンちゃんも日々色々なことに大なり小なりストレスを感じることはあります。
飼い主様ご家族の環境に問題がある、という訳ではなく、もともとは野生で暮らしていたワンちゃんが、今、人間の家族の一員として迎えられて、人間社会のルールの中で、生活をしているわけですから、普通に生活をしているだけでも、ある程度のストレスは溜まっているものです。
また、ワンちゃんは体調の悪さを見せないように、できるだけ我慢をしてしまいます。飼い主さまが気付く頃には病気や疾患など何らかの不調という形で表れてしまうことも多いのです。
深刻な事態へとつながりかねないストレス。
できるだけワンちゃんがストレスなく毎日を過ごせるように、努めましょう。
目次
- こんなしぐさが見られたらストレスが溜まっているかも…
- ストレスサイン① あくびをする
- ストレスサイン② 身体を掻く
- ストレスサイン③ 身体を執拗に舐める
- ストレスサイン④ 手足や尻尾を噛む
- ストレスサイン⑤ 食欲の低下・飲水量の増加
- ストレスサイン⑥ 活動量が低下
- ストレスサイン⑦ 嘔吐や血尿
- さいごに
1. こんなしぐさが見られたらストレスが溜まっているかも…
ワンちゃんはストレスがかかると、実は様々なしぐさや表情でそれを表現しています。愛犬のストレスサインを見落とさず、できるだけ早く気付いて対処してあげることが大切です。上から順にストレス度合いが軽い順、下に行くにつれて重度になります。
ストレスサイン① あくびをする(ストレス度:小)
ワンちゃんはストレスを感じると、自分自身を落ち着かせるためにあくびをすることがあります。スキンシップをとっている途中や、何かいたずらをして飼い主さまに叱られている最中などにあくびをしているときは、なにかしらのストレスを感じているサインです。
ストレスサイン② 身体を掻く、皮膚をかきむしる(ストレス度:小)
不安や葛藤、緊張を感じているときに身体をかく、という行動に現れることがあります。後ろ足で首のあたりや耳の後ろ、脇のあたりを一心不乱に掻き始める姿をイメージしてください。 たとえば、いたずらをして叱られている最中や、トレーニング中やお手入れ中、ドッグランなどでたくさんのワンちゃんがいる環境に行った際や苦手な動物病院に行ったときなどにこうした行動が見られた場合がストレスが原因かもしれません。
苦手な場所、にいる際は一時的にその場を離れてリラックスさせてあげる、叱っている際はもうその話はおしまいにして、愛情をしっかり伝えてスキンシップをとってあげましょう。ストレスを感じて萎縮したり、飼い主さまご家族との信頼関係が崩れてしまっては元も子もありません。
ストレスサイン③ 身体を執拗に舐める(ストレス度:中)
ワンちゃんがストレスを感じると、身体の一部分を執拗に舐める、という行動にも現れます。愛犬の手足の一部が赤くなっている箇所はありませんか?
よくあるケースとしては、お留守番のあいだ、退屈さを紛らわすためにずっと自分の前あしをずっと舐めている、というケースです。
運動不足や飼い主さまとのコミュニケーション不足などからくるストレスが原因でなめている可能性がありますので、スキンシップの時間を増やす、お留守番前にはお散歩に行くなど、なるべく愛犬がストレスを感じないようにしてあげることも大切です。
ストレスサイン④ 手足や尻尾を噛む(ストレス度:中)
ストレスから、自分の尻尾など、身体の一部を噛むという自傷行為を行うことがあります。運動量を増やすことでストレスを軽減することが最も効果的です。愛犬の生活環境を見直すとともに運動量とスキンシップの時間を増やす必要があります。
ストレスサイン⑤ 食欲の低下・飲水量の増加(ストレス度:中)
ストレスがたまると食欲が低下し、水を飲む量が増えることがあります。もともとワンちゃんは一気にフードを食べてくれる子が多いため、食欲の低下は気が付きやすいのですが、飲水量については常日頃からチェックしていなければ見落としがちです。
フードを変えたわけではなく、気温が高いわけではないのに、以前に比べてがぶがぶと水を飲むようになった場合は、注意が必要です。 飲水量の増加は、ストレスだけでなく、心臓病や糖尿病などその他の病気の可能性もあります。常日頃から飲水量を把握して、「いつもと違う」ときちんと気が付くことが大切です。
ストレスサイン⑥ 活動量が低下する、元気がなく睡眠時間が増える(ストレス度:大)
明らかに元気がない、尻尾が下がっている、表情も覇気がない、それでも動物病院で異常は見つからない、そんなときはストレスを感じているせいかもしれません。また、ストレスから睡眠時間が増える傾向があります。もともと1日14時間程度は眠って過ごすワンちゃんですが(成犬の場合)、ストレスを感じると1日の大半、20時間近くやそれ以上を眠って過ごすことがあります。
人間でいうと引きこもりのような状態で、活動量が著しく低下します。帰宅しても体を起こそうとしない、迎えに来てくれなくなったなどのような行動から始まり、飼い主さまが声を掛けても寄ってこない、反応しないなど無気力、無表情な態度と行動に現れます。
甲状腺機能低下症などの病気の可能性もあるため、睡眠時間が増えたことをすぐにストレスと結びつけることはできませんが、おおよその睡眠時間を把握しておくことで、いつもと違う様子に気付くことができます。
以前に比べて明らかに睡眠時間が増えた場合は、念のため一度動物病院を受診するようにしましょう。
ストレスの原因は様々で、環境かもしれませんし、飼い主さまとのコミュニケーション不足かもしれません。 そのストレスの原因は各ご家庭で異なると思いますが、この状態が続くと食欲も落ち、本当に体の病気に発展しかねません。できるだけ早めに原因の見極めと適切な対処を行いましょう。
ストレスサイン⑦嘔吐や血尿(ストレス度:大)
私たち人間もストレスをたまると胃が痛くなることも多いです。それはワンちゃんも同様で、ストレスから自律神経が乱れ、消化器系の不調に現れます。その体調不良から嘔吐が起きるので、自律神経を乱すストレスが嘔吐の原因になっています。 季節の変わり目や苦手な病院に行ったあと、知らない人の来客があった後などに吐く場合は、ストレスの可能性も高いでしょう。
しかし一日に頻繁に吐く、ぐったりしている場合は、何らかの病気などが考えられますので、ストレスだろうからと決めつけずに早急に動物病院を受診しましょう。
寂しがり屋な子や神経質な子に結構見られるのが、膀胱炎を起こしてしまうことによる血尿です。 特に神経質な子の場合は、ちょっとした生活環境の変化などが、ストレスになり膀胱炎につながってしまうことがあります。 飼い主さまの旅行やホテルに預けられたなど、ストレスがかかるたびに血尿が出るという子もいます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。 もちろん、ワンちゃんにも個体差があるので、ストレスに感じることも様々です。またストレスがどのような行動やしぐさに現れるかというのは個体差もあり、その子によって違う部分もあります。これらに当てはまる行動がないから大丈夫、ではなく、もしかしたらストレスを感じているかもしれない、と気にかけてみてあげるようにしてあげてください。
基本的には生活していくうえで、愛犬が苦手なことを、極力減らしてあげることが最も大切です。 普段から愛犬がどのような性格をしていて、どのようなことにストレスを感じやすいのかをしっかり把握しておくことが、ワンちゃんのストレス軽減、ひいては健康維持に繋がります。
どの子だって何かしら苦手なものはありますが、トレーニング次第で慣れさせることもできますし、飼い主さまの対応で苦手意識を薄めることは可能です。 苦手なものを極力避けることと並行して、避けて通れないものについては慣れさせていくようにしましょう。