ワンちゃんのアレルギー

知識・お役立ち 2023.06.23

今回はワンちゃんのアレルギーについてお伝えさせていただきます。

アレルギーとは、あるものに対して過敏に反応する状態です。人間にも花粉症や金属アレルギー、ハウスダストなどがあるように、ワンちゃんもアレルギーを発症することがあります。何に対して反応するかは(=何がアレルゲンになるか)や、どのような症状が出るかにはその子によって異なります。年齢によっても異なりますし、季節やその日の体調によっても様々です。

目次

  1. はじめに
  2. アレルギーとは
  3. ワンちゃんがアレルギーになってしまう原因
  4. よく見られるアレルギーとなりやすい食材
  5. アレルギーになりやすい犬種はいる?
  6. 初期の段階で動物病院を受診することが大切

1. はじめに

アレルギー症状、と聞くと、「皮膚が弱い子なんだ」と軽く受け止めてしまいがちですが、様子見で大丈夫なケースもあれば、緊急度が高いケースもあります。

また、以前は少し体が赤みを帯びてかゆそうなくらい、で大きな症状がなかったとしても、二度目に発症したときは嘔吐や下痢、呼吸不全などの重篤なショック症状を引き起こす、なんて可能性もあります。少ししたら収まるだろう、の判断が命にかかわる可能性もありますので、少しでも症状がみられる場合は、その時点で病院に連れていくようにしてください。

2. アレルギーとは

そもそもアレルギーとは、何らかの刺激に対して、身体が過剰に反応することを指します。主に1,2歳という若齢で発症することが多いのですが、時折シニアになってから急に発症する子もいます。

アレルギーとは、痒みの原因になる異物、つまりアレルゲンにより病名が変わるのですが、ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎には、大きく分けて以下の3つの原因があるといわれています。

3. ワンちゃんがアレルギーになってしまう原因

食べ物やノミダニ、ハウスダストや埃、花粉などが主な原因とされています。

これらがアレルギーを引き起こす原因「アレルゲン」となって、免疫が過剰に働くことでフケやかゆみ、炎症など、様々なアレルギー反応が起こります。

アレルギー自体は体質による部分が多いのですが、親犬がアレルギーを持っている場合、遺伝でアレルギーを引き継ぐ可能性があるとも言われています。また、以前よりも頻繁にシャンプーを行ったり愛犬の身体を清潔に保つことで、却って免疫機能が低下し、アレルギーを発症するケースもあります。

4. よく見られるアレルギーとなりやすい食材

食物アレルギー

食物中の成分に対して引き起こされるアレルギーです。 以下がアレルゲン物質になりやすい食材です。

  • 小麦
  • トウモロコシ
  • 牛肉
  • 鶏肉
  • 羊肉
  • 大豆
1歳以下から発症する子が多いですが、どの年齢でも見られます。アレルギーを発症すると、耳や目の周囲などの粘膜部分に、赤みやかゆみが出る子が多いです。また、下痢や嘔吐などの消化器症状を起こす子も非常に多く見られます。症状は季節を問わず1年中現れます。

体質的に特定のタンパク質を分解できない子や、歳を取って胃腸機能が弱っているシニア猫などは、アレルギーを発症してしまう可能性もあります。

食物アレルギーが疑われる場合は、血液検査によるアレルギー検査を行いつつ、低アレルギー食を一定期間試しながら、原因の特定を行うこととなります。

ノミアレルギー

ノミが原因で引き起こされるアレルギーです。ノミアレルギー性皮膚炎では、ノミがワンちゃんを咬んだときに注入されるノミの唾液に対して過剰反応を起こすことで発症します。たった一匹でも刺されればアレルギー反応が起こり、激しいかゆみや炎症が引き起こされ、さらなる症状へと続いていきます。

おもに首や背中、お尻などに赤い発疹(ブツブツ)や脱毛が見られるほか、かゆみから皮膚を噛んで脱毛することもしばしば。かゆみのため、患部をしきりにかいたりなめたりし、かゆみが激しいときには皮膚をかきむしって、出血が見られることもあります。

アレルギーの症状が現れ、その原因がノミなどの外部寄生虫である場合は、肉眼でも確認できることも多いことから比較的簡単に診断がつきます。皮膚炎の原因がノミであることが判明したら、できるだけ早急に寄生したノミを駆除薬で駆除することが必要です。症状によって対処方法が変わる場合があるので、動物病院を受診してスポットタイプやスプレータイプ、飲み薬を使用します。

ノミの繁殖スピードはすさまじく、1日平均30個もの卵を産むといわれています。 シャンプーなどでは被毛の下に潜んだのみをすべて除去することはできませんので、必ず動物病院にて駆虫薬を処方してもらうようにしましょう。

アトピー

ハウスダストや埃、花粉をはじめとする空気中に含まれる環境アレルゲンを原因とするアレルギーです。

生まれつきアレルギーを起こしやすい体質で、アレルゲンに対して免疫が過剰に反応してしまうことが原因とされています。そのため比較的若い年齢(6ヶ月〜3歳)で発症しやすい病気ですが、全年齢で確認されます。

発症すると足先や顔、脇の下や内またなどにかゆみを伴う炎症が起きます。 症状は良くなったり悪くなったりを繰り返し、完治がなかなか難しい病気です。

アトピー性皮膚炎と診断されると、かゆみや症状を緩和させるための薬物療法とスキンケアを併せて行います。症状がひどい場合はステロイド剤を処方されることもありますが、服用を辞めた途端症状が復活することも多いことから、外用薬やサプリメント、皮膚に良いとされるオメガ脂肪酸を含むようなフードやサプリメントを取り入れるなど、様々な面から症状の改善を目指します。

5. アレルギーになりやすい犬種はいる?

アレルギーといっても当然どの子もなるわけではなく、遺伝的な素因や生まれ持った体質も関係します。

そのため、基本的にはどの犬種もなりやすいと考えられていますが、食物アレルギーについては、ダックスフンドやフレンチブルドッグ、アメリカンコッカ―スパニエル、ミニチュアシュナウザー、パグなどで多く見られるといわれています。

また、アトピー性皮膚炎に関しては特に、柴犬やフレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、パグ、ジャック・ラッセル・テリア、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ワイアー・ヘアード・フォックス・テリアなどが比較的かかりやすいことが知られています。

6. 初期の段階で動物病院を受診することが大切

アレルギーを発症するか否かは犬種やその子の体質による部分が多く、その症状も様々です。

ただ、飼い主さまができることはしっかりと普段の様子を確認し、少しでも怪しいと感じる症状が出たら、病院を受診することです。そして原因をはっきりさせることで、今後の治療法について獣医師としっかり話し合うことが重要です。

アナフィラキシーショックに陥る可能性は全体でいうと多くはありませんが、たとえ軽症だとしてもしつこいかゆみや炎症が長く続き、良くなったり悪くなったりを繰り返すアレルギーは、ワンちゃんの生活の質をひどく低下させます。

愛犬のアレルギーにすぐに気付けるように、普段から定期的にブラッシングをすることで愛犬の皮膚の状態を観察しましょう。そうして、もしかしてアレルギーかも、と思ったら、重症化させる前に動物病院に相談することが重要です。


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